「だから、責任はわたしがとります」
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く、幾つかのパーティが競うように飛んできているのだろう。巻き込まれないようにガーネットを遠くに避難させながら、プレミアはリズの《拡声魔法》がかかったイヤリングを装備し、プレイヤーたちを出迎える準備をしつつ。
「ユイもガーネットと一緒にいてください」
「プレミア……本当に大丈夫なんですか?」
「わかりません。ですが、こんな時はこういってごまかすそうです。ナイスな展開じゃないか、と」
胸ポケットから追い出したユイから心配そうな声がかけられるものの、正直に言ってしまうとプレミアにも分からなかった。それでもショウキに大丈夫だと言い張ってしまったので、大丈夫という他なく。空を飛ぶプレイヤーに対しても聞こえるように、しっかりとイヤリングを口元にあてながら。
『みなさ――』
ただしプレミアが声を発するよりも早く、その腹部を氷の弾丸が貫いた。恐らくプレイヤーの一群が牽制で放った魔法だったのだろうが、プレミアは避けることも出来ずに直撃して倒れ伏した。そうして誰かに先回りされた、と感じたプレイヤーたちの飛翔速度がさらに上昇する。
『みな、さ』
さらに起き上がったプレミアの顔面にメイスがねじりこまれ、片目がグチャリと潰される感覚にまたもたまらず倒れ込めば、そこに後方集団から魔法の絨毯爆撃が飛来する。メイス持ちのプレイヤーが離脱するとともに、倒れたプレミアの全身をカマイタチが切り刻み、火炎弾の爆風によってその矮躯はたやすく吹き飛ばされた。
ただ吹き飛ばされたのはプレミアにとって幸いだった。予想以上に吹き飛んだおかげで、それからの魔法を避けることが出来たからだ。まだ生きていると、力を込めて立ち上がろうとして、プレミアはようやく自身の片足がないことに気づく。カマイタチに切り裂かれていたのだろう。
「あ……あ」
「プレミア!」
片足で体重を支えられるはずもなく、プレミアは苦悶の表情を浮かべたまま、またもやその場に倒れてしまう――ところで、ユイに支えられて立ち上がることが出来た。火傷を負って震える手でどうにかポーションを飲み込むと、残った片目でプレミアはプレイヤーたちのことを見据えた。
『みなさま……ごきげんよう。わたしはプレミアと申します』
どんな反撃をしてくるかと身構えたプレイヤーたちに訪れたのは、戦闘中とは思えないほどの呑気な声だった。どうして反撃してこないのか、というプレイヤーたちの疑問はすぐに解決された。
『本当の名前は別にあるかもしれませんが……わたしは大事な人にもらった、このプレミアという名前が大好きです。つまり、わたしの名前はプレミアです』
討伐対象であるはずの少女は、先の短い戦いですでに反撃など出来ない状態になっていたからだ。片目を含む顔面の半分はメイスによって無
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