第3話 嵐龍、現る
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死んじゃうぅうううぅううう!!?」
「大げさだな。この程度の高さから飛び降りた程度で人間死にはしないし、俺はしょっちゅうしてる。何よりこの方が最短で村に行けるだろう?」
「にゃぁあああああああぁあああああ!?」
驚愕と困惑と絶望を一緒くたにしたように叫び続ける帆波。
それは当然と言える。
上ること自体は素人の帆波でもそれなりに行けた山ではあるが、腐ってもそれなりでも標高が地味に高い山だ。その中腹から麓に続く崖を躊躇なく跳び降りた上での現在落下中なのだから。
「あっ」
「ど、どどどどどっどうしたんですか!?」
自分を抱えるハンターが落ち着いているので最低限の冷静さを取り戻した帆波だが、それでもこのような状況なのである程度困惑しながら聞いた。
「鍛えてるから俺は大丈夫だが、着地時の君にかかる重力加速度に加えた圧力などを計算していなかった」
「耐えられるんですよね、耐えられるんですよねっ、耐えられるんですよねぇええええっっ!!?」
「・・・・・・・・・」
「酷いぃぃいいいいいいいいいいぃいいぃいいいいいいい!!?」
これはあんまりだった。助けてくれたのかもしれないけど、こんな結末は嫌だ!
「大丈夫だ。なんとかする」
「具体案があるんですかぁあああ!?」
「まず、首にひっかけている両腕をもっと深くかけて、体も寄せてくれ」
「っ」
帆波はすぐにハンターの言うとおりにする。
今の態勢は互いに息のかかるぐらいにまで顔が近い。
これが愛し合う者同士なら、このような極限的な状況下であろうとお互いに色の籠った視線を交わし、瞳を閉じるとともに唇を重ね合わして熱い口づけに浸り続けるだろう。落下死の直前まで。
ただし現実はついさっき会った者同士で互いの名前を知りもしない上、帆波はいっぱいいっぱいでハンターは冷静のようだが今もなお帽子にゴーグル、そしてマスクと表情が全く見えないと、ムードの欠片もない状態である。
「あとはフードも被せてと」
「ひゃ」
そうして準備完了。
足に備え付けられた帯と袋にしまわれていたダガーを取り出した。
それを徐々に近づいてきた山肌の壁目掛けて思い切り突き刺す。
ガガガガガガガガガガッッ!!
ハンターの突き刺したダガーの耐久性は特別に体の堅いモンスターからはぎ取って作った最高クラスの性能だ。
なので山肌の岩石に負けることなく耐え続けられる。
山肌に切り口をつけながら落下し続ける。
「これで落下速度を低くすることができる。着地するぐらいにまでは君への体にかかる圧力と負担もほとんどなくなるだろう」
「そ、それはい、いいいい良いんですけど、痛くないんですかぁあああ!?」
山肌に切り口を
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