暁 〜小説投稿サイト〜
生ける大地の上で 
第3話 嵐龍、現る
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けたのは、遠目からだがこの咆哮の主に追いかけられている所なんだ」
 「え・・・。じゃ、じゃあ、あのモンスターが変な落ち方したのって・・・」
 「推察通り。俺が奴の脇腹に重い蹴りを入れて突き落とした結果だな。その後に君を直に保護しようとしたんだが、直後に別のモンスターに襲われて対処に遅れてしまったんだ」

 最後にすまないと付け足すと、いえそんな!と畏まれる。
 矢張り聡明な子だな。

 「取りあえず説明はこれで終わりと。――――少しここで待っていて欲しい」
 「えっと・・・」
 「アレの咆哮の主の御所望は俺だ。崖下に落ちて行く際に俺を睨み付けてたからな。放っておいても君の村にも迷惑かけてしまうかもしれないし、直に狩って来る」

 そう言い残して洞窟を出て行ってしまうハンターさん。
 この山に来た時は1人だったのに、ハンターさんが助けてくれたからこそ安心できたからこそ今はまた1人になって不安に感じてしまう。

 ギャオォオオオオオオッッ!!

 「っ」

 また咆哮が聞こえて来る。軽い調子で出て行ってしまったが、もしかしてピンチなんじゃないだろうか。
 如何すればどうしようかと逡巡していると、洞窟から出ていく時とには所持していなかった“何か”を持って帰って来た。

 「えっと・・・おかえりなさい」
 「ああ、ただいま。それじゃあ行こう」
 「え・・・?」
 「奴のことなら、もう狩り終えたから安心してくれ。ささ、下山しようか」

 そう言うと、持ってきたものをポーチに入れて跪く様に腰を下げてから私に向けて両手を広げて来るハンターさん。

 「えっと・・・」
 「ん?あー。君は足を挫いてるから急いで下山は出来ないだろう。だがおんぶしてやりたいが弓と矢包みと大剣が邪魔でそれも出来ない。だから後は抱っこしかないんだが・・・・・・やっぱり見ず知らずの男から抱き上げられるのは嫌か?」
 「そ、そんなことないです!」

 確かに未だに防寒対策のマスクとゴーグルで素顔は見えないが、先程から何となく安心させてくれるような気づかいが申し訳ないくらいに嬉しい。
 そんな人からの抱っこで運んでくれる提案に、拒絶する理由が私には無かった。

 「なら、遠慮なく行かせてもらうぞ」
 「は、はい。ふ、不束者ですが宜しくお願いします」
 「それは意味が違うだろう、に!」
 「わわ!」

 宣言通り帆波は抱っこされる。ただしお姫様抱っこだ。

 「どうだ?窮屈か?」
 「だ、大丈夫です」

 思ってたよりもこの態勢恥ずかしいな・・・。

 「それじゃあ行くぞ」
 「はい。っ!?」

 いざ洞窟から出ようとした時に、外から色々なモンスター達の鳴き声が聞こえてきた。

 「早くも始めた様だな抗争
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