第3話 嵐龍、現る
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ように考えて作った割には、元々の素材の性質故に防寒対策の服装物としては最高クラスのモノに仕上げられたと言う自負がある。
「上下ともあるから今着ている服の上からでいい。これを着れば、先程飲ませたドリンクの効果が切れる頃くらいまでには君の衣服の中を温めてくれるだろう」
「ぁ・・・・・・ありがとう・・・ございます」
今にも凍えそうな少女――――と言うのが対処によって変わって落ち着き始めた。
これならば漸く事情を聞けるだろうと尋ねる事にした。
「――――以上・・・です」
「・・・・・・・・・」
これは何とも。
事情を聞けば背水の陣だったとはいえ無謀にも程がある。これは説教した方が良いかと思いきや、少女が懺悔するように泣き崩れ始める。
「お母さんや妹は勿論、神父様が止めた気持ちが今なら分かります。私、なんて馬鹿な事したんだろう・・・・・・」
言葉を言い終えると本格的に泣き始めた。それでも忍ぶようにだ。
この少女は頭が良い。
もう既に自分がしでかしたことの大変さを自覚しての後悔を始めたんだ。
家族の事を心から思い、そして頭もよくなければこの状況でそんなこと泣きながら考えに至れるわけがない。
これは説教の必要は無い。何よりその気持ちだけは間違いじゃ無かったんだな。
だから優しく慰めるだけで良い。
「成り行きの巡り会わせとは言え、間に合って良かった。よく頑張ったな」
そう、優しく抱きしめたやると、胸に顔をうずめて来てさらに泣き出した。今度は忍ぶようでは無く思い切りに。
ただ黙ったまま抱きしめ続ける。時折あやす様に背中を優しく叩く。それだけで少しづつ泣き止んでいくのだった。
「――――すみません。見ず知らずにハンターさんに色々お世話してもらった上にみっともない所見せてしまいまして」
泣き止んでからの謝罪。だが、
「そんな事は如何でもいい。それよりも早く下りた方が良い。目的のモノ以上のモノも手に入れたし、ご家族や神父様も心配してるぞ。早く顔を見せて安心させた方が良い」
「は、はい」
一応、ギィギ自体から剥ぎ取れる素材も回収したが、ギギネブラからも素材を剥ぎ取って回収したのだ。これで彼女の母親を助けるための解毒薬も作れるだろう。
さてとと、一息つけてから下山しようと決めた所で轟音が鳴り響く。
ガァアアアアアアッッ!!!
「っ」
これに少女が反応した。無理もないだろう。先ほどはこれに追いかけられたのだから。
「突き落としてやったのに、もう這い上がって来たのか。相変わらずアレは執念深い」
「え・・・」
今の俺の言葉に少女が意外そうな反応を示す。
「俺が君を見か
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