第3話 嵐龍、現る
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、最早何所に行ったかもわからない。振り続ける雪によって足跡も見えなくなっている。
「手あたり次第探すしかないか」
気配を辿りながら捜索を開始した。
−Interlude−
「軽い大掃除でなってしまったな」
漸く先程見かけた人の痕跡を見つけてこの洞窟まで足を運んだが、それまでに遭遇した肉食系の小型大型関係なく、数にしておよそ三十ほどのモンスターを狩り尽したのだ。
とは言え大物級なぞ一頭たりとも出くわさなかったので、全て一撃で絶命させたから捜索開始からそこまで時間も経過してはいない。
「こんな洞窟に一体何の用があって・・・」
そう考えた直後、先程とはまた別の聞き覚えのある咆哮が洞窟内から響き渡って来た。
「不味い」
瞬時にこの咆哮の主――――ギギネブラと探し人が遭遇したと考えついたので、奥へと足を急ぎ進めた。
幸い現時点では洞窟は一本道なので迷うことなく奥へ奥へと進むことが出来た。
さっきの反響具合からざっと計算した結果、そろそろ辿り着いてもおかしくは無いと考えた直後に目に入って来たのは、少し距離のある場所でギギネブラが誰かを捕食しようと口を大きく開いた瞬間だった。
「間に合え・・・!」
そこで一瞬で跳躍して既に抜き終えていた大剣を、ギギネブラの長い首目掛けて全力で投擲。
勿論結果は着弾したギギネブラは、久々に見かけたご馳走を目前にしてギロチンに掛けられた死刑囚の様に断頭となった。
そんな死骸となったギギネブラの胴体の背中部分に遅れて着地・到着すると、食べられそうになっていた探し人の正体は軽装のストロベリーブロンドの少女だった。
怯えている様子だったので優しく声を掛けてやるも無言。恐らくは未だに現実に追いついていないのだろう。更に優しく声を掛けるもあやふやに返って来る言葉ばかり。
「ふむ」
此処はまず落ち着かせるのが先だろう。ならばそれ以上に寒さを凌がせる方が先決だと考えて、赤い液体が入っているビン――――ホットドリンクをポーチから取り出した。
「これを飲むといい。即効性故に短時間しか持たないが、直に温まるぞ」
「ぁ、はぃ・・・!」
気休めと思ったのか騙されて飲んでみたのだろう、見る見るうちに自分の中で熱が蘇った事に驚きとともに少し顔色も良くなってきた。
とは言え、少女にも告げたように短時間しか持たないが事情を聴く前に無理矢理山を下りるのもどうか・・・・・・・・・と思考の海に僅かの間浸かっているとある事を思い出した。
そう言えばアレが在ったか。
一応念のためと、この仕事に入る前に受けた依頼で討伐した超大型モンスターの剥ぎ取った素材の一部で作った防寒対策のコートの一つ。しかも折りたたみやすい
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