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永遠の謎
518部分:第三十話 ワルキューレの騎行その十七
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第三十話 ワルキューレの騎行その十七

「昼は企み深く」
「そうしてですね」
「醜く疎ましい昼だ」
「だからこそ陛下は今は」
「アルプス。自然のその場所に」
「人のいない場所に」
「そこに行く」
 そうだと言うのだ。そしてそこにおいてだった。
「私のその全てを表す場所でだ」
「ノイシュバンシュタイン、そしてですね」
「他の城も築いていく」
「それが陛下がこの世で果たされることです」
 ここまで聞いてだった。騎士は。
 にこやかであり気品のある端整な笑みでだ。王に答えたのだった。
「それこそがです」
「ではこのままでいいのか」
「いいのです。ですが」
「しかしか」
「今陛下と共にいる者の多くはです」
「このことをわからないのだな」
「はい、今は」
 現在のだ。この時はだというのだ。
「わかりません」
「そうか」
「陛下を今理解しているのは僅かです」
「そうだな。まことにな」
「しかしそれはです」
 そのこと、王の理解者が僅かであることはというのだ。
「悲しむべきことですがそれでもです」
「私は道を歩むべきだな」
「その通りです」
「そうだな。私はな」
「その数々の城を築かれて下さい」
 騎士はこう王に告げる。
「そうされて下さい」
「わかった。それではだ」
「はい、それでは」
「森と湖の中に城を築いていく」
「そうしてです」 
 さらにだというのだった。
「陛下はそれが終わった時にです」
「この世を去るのか」
「新しい。陛下がおられるべき場所にいらして下さい」
「その時にも来てくれるのだな」
 王は騎士に顔をやりその彼に問う。
「また」
「そうさせてもらいます」
「ではその時を待とう」
 王は静かに騎士に述べた。
「そなたが私を迎えに来るまで」
「この世界におられてですね」
「この世界にあるのは苦しみだ」
 王にとってはそうなりつつあった。
「だがそれでもだ。私は現実の苦しみではなく甘美な幻想をだ」
「この世界に描かれ」
「それを見たい」
 王の願いは完全にそこに至っていた。最早。
「全ては決まっているのだからな」
「ドイツのことは」
「そうだ。何もかもが決まってしまっている」
「フランスは敗れ統一されプロイセンが軸になります」
「それが現実だ」
 王にとって喜ぶべきものもある。しかし悲しむべき、嘆くべきことも多い。
 その現実にだ。王は。
「逃れたいがそれができないならだ」
「せめてですね」
「それを果たしたい。私の果たすべきことを」
「そうされて下さい。では今は」
「去るのか」
「そうさせてもらいます」
 まさにそうだとだ。騎士は王に答え。
 そうして湖に来た白鳥が曳く舟に顔を向けてだ。その瞬間に。
 舟の
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