第6章:束の間の期間
第185話「共に強く」
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方としてはそういう事なのだろうと、アリシアは結論付けた。
「(……皆、もうこれ以上後悔したくないんだろうな)」
覚悟の決まった司の目を見て、アリシアは思う。
優輝が倒れ、司はショックを受けていた。
そして、今まで頼っていた立場から変わろうとした。
その決意を、アリシアも感じ取っていたのだ。
「(共に強く……いいよ、司。私も協力する。もう後悔したくないのは、司達だけじゃないからね。……自分の無力を味わうのは、誰だって嫌だからね)」
被害を抑えられたとはいえ、怪我人どころか死人も多く出た。
身近な存在だった椿と葵だけでなく、他の戦闘部隊の局員や、現地の退魔師。
逃げ遅れ、身を隠す事も出来ずに妖に襲われた一般人など。
その事実から目を逸らしたくなるぐらいには、被害が出ていた。
中には、自分がもっと強ければ助けられたと思えるような命があった。
……誰もが、力不足による後悔をしていたのだ。
「椿ちゃん、来たよ」
「いらっしゃい。……って、アリシアも一緒だったのね」
そんな事をアリシアが考えている内に、椿がいる部屋に辿り着いた。
「別に構わないよね?」
「ええ。元々教えるつもりだったもの。手間が省けたわ」
「(普通の個室でも出来る事なんだ。……何をするんだろう?)」
普通に考えれば、特訓に使えるような部屋ではない。
出来たとしても、簡単なストレッチなど、その程度だ。
「アリシアちゃんも気にしてたけど、何をするのかな?片手間に出来ると聞いても、私にはピンと来ないんだけど……」
「え、司も知らなかったんだ」
「そりゃあ、教える前だもの。知らないに決まってるでしょ」
椿に、とにかく部屋に入るように促される。
中には、既に奏と葵もいた。
「先に来た奏にはもう教えているわ」
「これは……霊力の操作?」
「そう。それも精密な……ね」
奏は集中しやすくするためか、手を組んだ状態でじっとしていた。
そんな奏から、微弱な霊力の動きをアリシアは感じ取った。
「さて、明日からは復興支援の活動もあるから、手っ取り早く教えるわ。最初は立ったままじゃ難しいと思うから、座りなさい」
椿に促されるままに、適当な場所に司とアリシアは座る。
「最初に言わせてもらうけど、“強くなる”と言ってもそんな一朝一夕で強くなれる訳がないわ。アリシア、貴女達も才能があったから実戦可能な所まで強くなれただけで、これ以上ともなれば簡単には行かないわ」
「えっ、それじゃあ……」
“聞いていた話を違う”。そう思ったアリシアを制するように、椿は続ける。
「尤も、それはさらに力を身に着ける場合の話ね」
「……どういう、
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