第6章:束の間の期間
第185話「共に強く」
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が出来ない。そんな理不尽な思い。
何かに当たらないと気が済まない程、椿ちゃんはその思いが強かったのだろう。
「でも、一番強く思ったのは、自分が何もできなかった事への、怒りよ」
「………」
椿ちゃんの拳を握る力が強くなるのを、見るだけでも分かった。
無力感を、自分への怒りを、今も強く感じているからだろう。
「あの時と……とこよの時と同じなのよ。私は、肝心な時に戦線に立つ事すら出来なかった。……それが許せなかった。……私は、自分で自分を赦せないのよ……!」
「椿ちゃん……」
それは……辛いものがあるのだろう。そう、漠然と思った。
一度ならまだ立ち直れるだろう。でも、二度目だと……。
種類が違い、当時は思い込みが激しかったのもあるけど、私も似た経験をした。
自分がもっとしっかりしていれば……なんて、よく思った事だ。
だからこそ、椿ちゃんの想いは何となく理解できる。
「……だったら、強くなろう。一人で抱え込まず、皆で」
「ッ……言うだけ―――」
「言葉にするだけなら簡単なのは理解してる。……でも、だからと言って一人で抱え込むのはそれこそ優輝さんの二の舞になると思うわ」
どの道、ここで立ち止まっていては何も変わらない。
椿ちゃんもそれは理解しているだろう。
「優輝君も、椿ちゃんも、私達も。決して一人じゃないんだ。だから、苦しみも、悔しさも、強くなろうとする想いも、皆で共有しよう?」
「私達も強くなりたいし、無力だった事が悔しい。椿さんのように、優輝さんの心の拠り所にすらなれていなかった。……自分で自分が赦せないのは私達も同じよ」
今の椿ちゃんには既視感があった。
それは、以前の私じゃない。
でも、ついさっきの奏ちゃんの言葉で確信が持てた。
……緋雪ちゃんを失った時の優輝君に、椿ちゃんは似ていたんだ。
「(でも、そうだとしたら……)」
「……知ったような口を、利かないで!!」
「ッ!?」
やっぱりと言うべきか。椿ちゃんは怒りと共に霊力を開放した。
その力の圧力に、奏ちゃんは怯む。
私は直前で予想できたのもあって、何とか耐えた。
「人の気持ちは、心でも読めない限り本人にしかわからない!なのに、まるで理解しているかのような口振りで……!ふざけないで頂戴!」
「ふざけてなんかいない!」
放たれるプレッシャーに負けず、私も大声で反撃する。
「椿ちゃんの気持ちは確かに分からない!でも、私達だって優輝君が大事!その想いは椿ちゃんにも負けるつもりはないよ!そんな優輝君がああなったのだから、大事にしてるのなら誰だって悔しく思うし、自分の無力を嘆くよ!」
「っ、司……!」
人の本当の気持ちな
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