主役だと言い張れる話 後編
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そうだったけど──つまり彼女もリーダーが好きだったわけだけど──そんなに調子は悪くなさそうだった。
俺も、調子は悪くなかった。前日にあったちょっとした緊張感も消えていた。
「よし、それじゃあ行こうか」
過度に気合を入れずに、いつもどおりの声でリーダーは号令をかけた。各々がそれぞれの表情で頷く。合わせて、俺も何となく頷いておいた。
──さぁ、問題はここからだ。
まだ、俺が主役の話なんて、微塵もない。俺は、いるように見えるだけの単なる影だった。
そうじゃなくなるのは、最後の最後。この旅路の、結末の瞬間だけだ。
森の奥地にある屋敷が敵の住処だった。屋敷の内部はかなり複雑な空間となっていて、屋内だというのに草原や荒野、雪原が広がっていた。
そこでは様々な妨害が待っていた。罠や幻覚、凶暴なモンスターの群れ。突破するのは困難だった。
それでも俺たちはその全てを退け、ついに討つべき男の元にたどり着くことができた。
噂以上に、強力で恐ろしい魔法使いだった。まず、戦士の男が倒れた。次に、盗賊の女が負傷して動けなくなった。そういった激戦の末に、しかし、敵を追い詰めるまでいった。
リーダーの剣士が、治癒術師の彼女から強化の魔法を受け、剣を振り上げる。眼前には深手を負って伏せる敵。この一撃を当てれば、まず決着がつくという状況だった。
このときのことはよく覚えている。少なからず興奮を覚えていた。気がつけば、本当にこの旅を成功に終わらせる場面まで来ていたのだ。もしも成功すれば、俺も彼らに協力した魔法使いとして、それなりに有名になる。地位と名声が手に入る。信じられないことに、それが現実になりそうだった。
戦士の男が倒れたまま、それでもリーダーの剣士に視線を向けていた。戦士のすぐ側で彼をかばいながら、盗賊の女も激励の声をあげていた。俺の目の前で治癒術師の彼女が、祈るように杖を抱えていた。そしてさらにその先に、俺たちのリーダーの背中が見えた。
全員が勝利を祈る中、俺だけは全く違うことを考えていた。いや、無関係ってわけじゃないけど、全く違うことを。
『今、魔法を撃てば、リーダーは死ぬ』
魔が差すって言葉がある。まさしくそれだった。この奇妙な考えはどこからともなく現れて、一瞬で俺の意志と思考に染み込んでいった。
どうしてこんなことを考えたのか、どうして思いついたのかは、今でも分からない。けど、俺はその瞬間、そうすることがとても自然なことに思えた。この場で彼を殺すことが、当たり前のことに思えた。
そこからは早かった。手慣れた魔法の詠唱なんて一瞬で済んだ。魔力を杖に通して、魔法を発動させる。一瞬の閃光とそれに続く炸裂音。人体を破壊するには十分すぎる規模の爆発が、剣士の背後で発生した。業
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