主役だと言い張れる話 後編
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分だろう。
この集団の面白いところは、他のメンバーにも同じ話がある、ってことだ。もちろん、俺以外の、だけどね。そういった、良い人間たちの集まったチームだった。
さて、準備はこれぐらいにして、本題に入ろう。
様々な旅路を経て、俺たちは目的地にたどり着いた。
最後の宿は野宿だった。敵の住処が街から離れている上に、森の奥地にあったせいだ。前日ぐらいしっかりと休みたかったけど、こればっかりは仕方がない。
テントの中で眠っていると、目が覚めた。緊張していたせいかもしれない。
──振り返ってみれば、このときに目が覚めたことが、一つの転換点だったかもしれない。実際のところは、よく分からないけどね。
目が覚めた俺は、辺りを見回した。特に理由なんてなかった。そこで、二人がいなくなっていることに気がついた。二人っていうのはもちろん、リーダーと、俺を誘った彼女だ。ここで、戦士の男と盗賊の女が消えていたら、それはそれで面白かっただろうね。
どうしていなくなっていたのか、なんて考えなくても分かるようなことだ。なのに、俺はわざわざ探しに行ってしまった。全く、馬鹿だよね。
外に出て、暗い木々の向こうに二人の姿が見えた。といっても、夜目もきかなければ耳も特別良いわけじゃなかったから、何を話しているかは分からなかった。まぁ、雰囲気は良かったと思うよ。
何となくしばらく眺めていたところ、二人は話すのを止めたようだった。その代わり……何かを始めたようだった。何かって何だって?──さぁね。一つ言えるのは、俺がしたことがないようなことかな。
三十分ぐらいだったと思う。なんて表現しようかな……そう、十分に愛し合った二人はテントへと戻っていった。
俺は、というと、何となくその場でぼーっとしていた。特に理由はなかったけど、何となく、すぐに戻る気にはなれなかった。
二人が何を話していたかは分からなかったけど、でも、大体想像はつく。最終決戦前の、大事な儀式ってところだ。
別に、二人が相思相愛だってのは前から知っていた。何だったら、初対面のときから分かっていた。だから、別にショックってわけじゃなかった。
むしろ、奇妙な安心感があった。確かに俺は彼女のことが好きだったけど、自分と彼女が特別な関係になる、というのはあまりにも現実離れしていて、不気味でさえあった。だから、彼らの関係性の深さを、はっきりと確認したことで、“やっぱりそうだよな”っていう安心感があった。こうあるべきだ、っていうね。
だから、ショックではなかったんだけど、それでも、何というかな。
まぁ──ちょっとぐらいは、泣いたね。
で、翌日。当たり前だけど、リーダーと彼女はかなり調子が良さそうだった。戦士の男はいつも通り、緊張した様子もなし。盗賊の女は二人を見て若干、不機嫌
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