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異世界転移=主役とは限らない?
異世界に来たばかりのときの話
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は嫌いだったけど、異世界の学校ならきっと楽しいだろう、そう思ってた。
 その表の中には、魔法が学べる学校もあった。もちろん、即決だった。
「ここでお願いします」
「わかりました。じゃあこの書類のこのへんに書いてください」
 後はとんとん拍子で説明が続いた。大体はこれから行った先についての説明。寮のようなものに入って、それからは現地にいる人間の指示に従う、だとか。長ったらしい説明は面倒だったけど、魔法が使えるようになるっていう期待感の方が大きかったから、苦じゃなかった。
 説明が終わった後、他の人たちと一緒に馬車に乗せられて──そう、馬車だよ、馬車。初めて乗ったよ──その魔法学校とやらに到着した。転移した街から近かったのは幸運だったね。
 魔法学校は隣街の中にあった。街中を馬車が進み、古めかしい外壁に囲まれた城にたどり着いた。門が開いて、その中へと入っていく。あれこれ描写したいところだけど、馬車の中からじゃ、よく見えなくってね。正面の門とかぐらいしか見えなかったよ、悪いね。
 門を通り過ぎてからしばらく進んで、馬車は止まった。俺たちは馬車から降りて、それから全員揃って、興味深そうに周囲を見渡した。その場にいたのはほとんど、異世界人だったからね。田舎からきた観光客みたいなもので、何でも珍しいわけだ。
 俺たちが着いた場所は林と巨大な城の間だった。城に隣接するように小さな建物が建っていて、それが寮だと説明された。
 寮の中に案内されて、全員が各々の部屋に通された。一人一部屋だったよ。部屋にはベッドと小さな机と本棚と衣装棚があって、中々快適そうだった。
 部屋に通された後は、後から寮での生活や魔法学校について説明する人員が来るから、それまで待っててくれと言われた。ベッドに寝転がって、ようやっと一息つけたよ。
 途中で紆余曲折というか、色々あったけど、最終的に寮にたどり着いた段階での俺の気分は最高だったよ。まさしく、異世界に期待していたものそのものがそこにはあった。まだ何も知らなかったから、その後の成功とか妄想していたっけな。偉大な魔法使いになって、とか何とかね。
 まぁ、とにかく気分が良かった。少なくとも、前の世界より悪いなんてことはないし、これから最高の人生が送れるって確信してたね。
 ──実際、どうだったかって? ……それに答えるのは、結構難しいな。
 一つだけ言えるのは、異世界にきたから最高の人生が送れるっていうのは、ちょっと期待しすぎだった、ってことかな。
 つまり、何で前の世界は退屈で悪いものだったのかってことさ。もちろん、前の世界が物や人が溢れすぎていて、わけのわからない意味のない習慣や常識が蔓延していて、それが嫌で最悪だった、ってのはある。それは本当だ。けど、もう一つ、無視できない事実がある。それは、俺が俺だった、ってこと
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