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永遠の謎
507部分:第三十話 ワルキューレの騎行その六
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第三十話 ワルキューレの騎行その六

「この戦争の後は。ビスマルク卿は戦争をされないにしても」
「あの好戦的なビスマルク卿がですか」
「もう戦争を止められるのですか」
「そうなるのですか」
「はい。あの方はこれで終わらせます」
 これからはじまるだ。フランスとの戦争でだというのだ。
「ドイツが統一されるのですから」
「ではあの方はドイツ統一の為にですか」
「戦争を行っていた」
「そして強権的だったのですか」
「そうです。多くの者はそのことがわかっていません」
 ビスマルクのだ。そうした考えがだというのだ。
「あの方はドイツの為に最も合理的な手段を採られているだけです」
「ドイツの為に」
「それだけなのですか」
「あの方の鉄と血はドイツの為の鉄と血です」
 産業と軍隊はそうしたものだというのだ。ビスマルクにとって。
「双方があり戦争が行われますが」
「これからはそれが違ってくる」
「そうなりますか」
「そうです。これからはその鉄と血は」
 戦争ではなくだ。別の目的の為に使われるというのだ。
 そしてだ。その目的とは。
「平和の為に使われます」
「あのビスマルク卿が平和をですか」
「プロイセンがですか」
「そうするというのですか」
「あのフリードリヒ二世も」
 プロイセンを大国にしたあのフリードリヒ大王だ。今プロイセンがあるのはこの王があってこそだ。だからこそ大王とまで呼ばれているのだ。
 その王についても。話すのだった。
「オーストリア継承戦争、そして七年戦争の後は戦争をしていませんね」
「あっ、そういえば確かに」
「あの王はそうでしたね」
「二つの戦争の後は決してです」
「戦おうとはしませんでした」
「戦争とは何か」
 ひいてはだ。戦争論にもなった。
「それは政治なのです」
「政治の一手段ですね」
「戦争はあくまで」
「そしてリスクも非常に高い」
 敗れればそれこそ国家の存亡の危機に陥る。バイエルンがこれから戦うフランスにしてもナポレオンの敗北で危うく全てを失うところだった。だがそこでタレーラン、フーシェという二人の怪物がいてだ。その敗北の責任をかつて自分達が仕えていたナポレオンに押し付けてフランスを救ったのだ。
 タレーラン、フーシェについてはその人間性は多くの者が顔を顰めさせるものだった。両者共平然と政治的裏切りを繰り返し多くの者を、時としては陰謀まで使いギロチン台に送っている。しかもタレーランは女性問題が多く賄賂も受け取った。フーシェの政治的冷酷さと数字を数えるが如く粛清を行うことは欧州に広く知られていた。
 だがその彼等がフランスを救ったのだ。これが政治なのだ。
 その政治についてだ。王は言った。
「ですからこれからはです」
「プロイセンは戦争をしない
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