猫娘と神野区異変編
NO.086 淀む空気
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爆豪達六人は一旦新幹線に乗って、八百万が仕掛けた発信機により判明しているヴィラン連合のアジトと思われる場所がある神奈川県横浜市神野区へと向かっていた。
その新幹線の中で、
「一応言っておく」
轟がそう言葉を発し、
「これからやろうとしている事はただのエゴだ。誰にも認められねぇことだって事は認識しておいてくれ。だから引き返すならまだ間に合うぞ?」
その言葉は飯田がよく分かっていた。
それで尚且つ分かった上で着いてきたのだ。
「迷うくらいならそもそも言わねぇよ。緑谷は……ヴィランのいいようにされちまったら危ねぇしな……」
一同が感じるのはいつも訓練時にみんなの個性を様々な角度から吟味してアドバイスを教えてくれるけど、どこか少し抜けているところもあり、そんなところが可愛いと思える出久の姿。
いつも中心にいる訳でもないのに自然と誰かに頼られるような人柄の良さ。
同時に事情を知っているからこそ分かるどこか、ふと気が付いたらずっと遠くを見据えているような顔。
その表情が不安を感じるものではないのだが、その身に宿す大量の生命力によって遠い未来に一人取り残されてしまうかもしれない危うさ……。
それをどうにかしようといつも頭の片隅では考えているクラスメイト達。
そして爆豪が口を開く。
「出久は……必ず救い出す! それが今の俺に出来る最大限の恩返しだからだ。引き返せなんて言われてももう従わねぇぞ、半分野郎!」
「ああ。構わない」
そんな反応を見て観察している八百万は多少ながらも不安を感じていた。
以前から何度か爆豪は出久の事になると周りが見えなくなることがあると一緒にいた切島とかに聞いていたのだ。
それは以前に出久の説明した二人の過去に起因するものというのは分かっているが、それがまた出てしまい暴走してしまうかも限らない。
「(百……いざという時には必ず止めるのよ!)」
八百万はそう意気込んでいた。
「……ところで、爆豪君。少しいいかな?」
「んだよ、丸顔?」
「あー! さっきは麗日って呼んでくれたのにー!」
「うっせぇ!……で、なんだよ!?」
「なんだかはぐらかされたような気分や……まぁええけどね。それなんだけど、爆豪君っていつの間にデクちゃんの事を『出久』って呼ぶようになったの……?」
「ッ!?」
それで目を見開いて咄嗟に顔を逸らす爆豪。
「そういえば……」
「確かに……」
『確かに』と反応を示す一同。
先ほどまでのどこか張り詰めたような空気は鳴りを潜めて、どこか興味深々な感じの空気になった。
「そ、それは……」
何度か視線を左右に揺らして口ごもる爆豪。
「それはー……?」
そんな爆豪の姿に興味津々ですと言わんばかり
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