第十四話 俺は君達を知らないんだが……
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年も生きているのかな? フリードリヒ四世も生きているとは限らないしどうなるんだろう。さっぱり分からん。
今の段階でフリードリヒ四世が死んだらどうなるんだ? エルヴィン・ヨーゼフ二世が即位するのか? その場合ブラウンシュバイク公、リッテンハイム侯は如何する? いや周囲の貴族達は? こっちもさっぱり分からん。フェルナーに訊いてみようか? いやフェルナーよりもブラウンシュバイク公と話してみたいな。その辺り如何見ているのか? 内乱になっても勝てると見ているのか……。それに先日の警告の御礼を言いたい。
しかしなあ、監視が居るからな。ブラウンシュバイク公に会ったなんてなったらどんな騒ぎになるか。やはりフェルナーで我慢かな。でもフェルナーと会うのも難しい。……面倒だな、皆呼ぶか。それも一つの手だが……。あれ、TV電話が受信音を鳴らしだしたな。この番号は……。
帝国暦487年 12月 1日 オーディン 士官学校 リヒャルト・エンメルマン
校長室から出て少し歩くと溜息が聞こえた。
「緊張したな」
声を出したのはハックシュタイン准将だった。溜息を吐いたのも准将だろう。
「フェルデベルト大佐、エンメルマン大佐、卿らは士官学校で校長閣下と同期生だったのだろう。親しかったのかな?」
フェルデベルトと顔を見合わせた。困った様な表情をしている。
「いえ、それほどには親しくありませんでした」
俺が答えるとフェルデベルトが“自分もです”と答えた。親しくなど無い、会話を交わした事など一度も無かった。おそらくはフェルデベルトも同じだろう。我々はエーリッヒ・ヴァレンシュタインという同期生を扱い兼ねていたのだ。彼は異質だった。
ヴァレンシュタイン候補生は常に超然としていた。教官の不興を買っても全く動じなかった。シュターデン教官は戦術の重要性を説いたがヴァレンシュタイン候補生はそれを無視した。戦術の軽視を咎めるシュターデン教官を論破した程だった。四年間兵站を専攻したが戦術シミュレーションの成績は抜群だった。異様な候補生だった。皆が彼を畏れた。親しくしたのはフェルナー、キスリング、ミュラーだけだった。
士官学校を五番で卒業。その事にも疑問が有った。毎年のように兵站関係の資格を取得していた。四年次には帝国文官試験を受け合格している。士官学校の成績を重視しているようには見えなかったし出世を望んでいるようにも見えなかった。いつも図書室で本を読んでいた。卒業後の任官先は軍務省官房局から誘いが有ったらしいがそれを拒絶して兵站統括部だった。
だが今ではローエングラム伯を除けば帝国でも最も若い将官であり大将だ。そして士官学校の校長とはいえ帝国軍三長官の懐刀と言われている。サイオキシン麻薬摘発事件、アルレスハイムの会戦、トラウンシュタイン産バ
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