第十四話 俺は君達を知らないんだが……
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「フェルデベルト大佐とエンメルマン大佐の事を御考えですか?」
ヴァレリーが気遣わしげな表情をしている。心配しているらしい。
「……ええ、まあ」
「士官学校では同期生でも今では立場が違います。それにハックシュタイン准将とレーリンガー大佐が居ました。馴れた態度は取れなかったのでしょう」
「……」
そんな事じゃないんだけどね。だけど否定するのも面倒だから“そうですね”と答えた。
知らないんだよ、フェルデベルトもエンメルマンも。二人とも戦略科を専攻したし兵站を専攻している変わり者の俺には関心が無かっただろう。それにシュターデンが俺を毛嫌いしたから戦略科のエリートは俺には近付かなかった。俺も殆どの時間を図書室で過ごすかフェルナー、ミュラー、キスリングと過ごしたからな。経歴を調べるまで二人が同期生だとは分からなかった。フェルデベルトは士官学校を三番、エンメルマンは七番で卒業している。将来を嘱望される候補生だっただろう。
ミュラー、フェルナー、キスリングに二人の事を聞いたけど三人とも言う事は同じだ。“悪い奴じゃない”。三人はそれなりに二人と付き合いが有ったらしい。逆に何で知らないんだと言われたから嫌われたみたいだと答えた。三人共笑い出したな。嫌われたんじゃなく怖がられたんだと言ってた。失礼な、俺は乱暴を働いた事は無いぞ。
歓迎会とかやった方が良いのかな? 後でフェルデベルトとエンメルマンを呼んで“元気だったか”とかやってみようか? 何か不自然だよな。一週間ぐらい経ったら“慣れたか”、“問題は無いか”って聞いてみようか? 関心を持たれていると分かれば悪い気はしないと思う。うん、そうしよう。
ラインハルトは機嫌が悪いってミュラーが言ってたな。軍務尚書に副司令長官としての自覚が無いと言われた事が応えているらしい。ついでに言うと俺が評価されている事も面白くないそうだ。何で? 俺は向こう十年士官学校の校長だよ。十年間閑職で過ごすんだ。少しぐらい同情してくれてもいいだろう。
そうミュラーに言ったんだけど肩を竦められた。何でも帝国はこれから十年間は内政重視になるそうだ。そして十年経ったら俺が宇宙艦隊副司令長官になるんだとか。そしてラインハルトはお払い箱だという噂が流れているらしい。何処の馬鹿がそんな無責任な噂を流しているんだ? 大体十年間戦争が無いとでも思っているのか? こっちから出て行かなくても向こうがやって来るだろう。そうなればラインハルトの出番だ。あっという間に元帥だな。
でも覇権を握って新銀河帝国を創れるかと言えばちょっと疑問だ。イゼルローン要塞も落ちないし銀河を手に入れるのは難しいだろう。となるとリヒテンラーデ侯の内政改革を手伝った方が良いのかな? でもなあ、あの陰謀爺の懐刀なんて言われるのは避けたい。というよりあの爺、あと十
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