第十四話 俺は君達を知らないんだが……
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と大将が“そうですね”と言ってまた溜息を吐いた。あの、私苛めてるわけじゃないんだけど……。
帝国暦487年 12月 1日 オーディン 士官学校 エーリッヒ・ヴァレンシュタイン
溜息出るわ。最近不本意な事が多過ぎるんだ。新たに士官学校に配属された教官達もその一つだ、頭痛いわ……。ハックシュタイン、レーリンガー、フェルデベルトなんてラインハルトが使えないと評価した男達だ。特にハックシュタインなんて士官学校を首席で卒業したが、それでもバカが直らなかったのかと酷評されている。
まあラインハルトは口が悪いし出来る人材を好み過ぎる。その分だけ他者への評価が厳しくなる傾向が有る。本当はそれほど酷くは無いのかもしれない。でも大丈夫なのかって不安に思うのは当然だろう。一応軍歴は調べたんだよ。三人とも軍務省、統帥本部、宇宙艦隊で軍歴を重ねている。前線勤務だけを続けたわけじゃない。これを如何見るか?
好意的に見れば前線と後方で経験を積んでいると見る事が出来る。軍上層部は彼らに期待している、万遍なく経験を積ませていると見る事が出来るだろう。後方で人脈を作る事を期待しているとも見える。階級が低い様にも見えるがこれも説明が付く。前線に出て武勲を上げる機会が少ないからだ。
軍だって組織であり官庁である以上軍組織を動かすには官僚的な能力が要る。つまり文書の起案と上層部にそれを受け入れさせる説得力だ。或いは上司の意向を汲んで文書を作成する要領の良さ。そういう能力が有れば重宝されるし前線に出して戦死されては困るという事になる。必然的に出世は遅くなる。三人共二十代後半で准将、大佐なら十分に出世していると見て良い。
妙な話だけど年齢の割に出世してる奴なんて前線でしか使えない、軍官僚としては使えないと判断された奴が多いんだ。必ずしも軍上層部からは良い評価を受けていない。戦死しても構わない、前線で使い潰して構わない、運が良ければ昇進するだろうというわけだ。例を挙げればビッテンフェルトだ。如何見ても書類仕事なんて無理だろう。原作でラインハルトが軍上層部から評価されなかったのも前線勤務しかしていない事に対する蔑視が有ると思う。階級が低くても軍中央に居る方が有力者と見られる事はままある。
だが期待していないとなれば如何か? 軍官僚として使えない、参謀、指揮官としても使えないと判断されたという事だろう。使えないから要らないという事で前線と後方で押付けあったという事だ。そんなところに士官学校から教官に相応しい人物を送ってくれと要望が来た。人事局はこれ幸いと押付けたという事になる。士官学校での成績が良いから適任と見たかもしれない。しかしなあ、成績が良いと言っても前線、後方で使えなければただの丸暗記という事になる。これじゃ教官としても使えない。
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