第十四話 俺は君達を知らないんだが……
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けど二人ともおどおどしたような眼で俺を見ている。なんで? 俺って何なの? 人畜無害の士官学校校長だよ! 何で俺を怖がる! 不本意だ、俺はとっても不本意だ!
帝国暦487年 11月 25日 オーディン 士官学校 ミヒャエル・ニヒェルマン
「凄いな! 大将閣下だよ、大将閣下! それに双頭鷲武勲章!」
ハルトマンが興奮した声を出している。でも全然気にならない。だって僕も凄く興奮しているから。でもあんまり騒いでいると怒られるかな? 談話室だから大丈夫だと思うんだけど……。
「アルテミスの首飾りを攻略しちゃうなんて本当に凄いよね」
僕が言うとハルトマン、エッティンガー、バウアー、トイテンベルク、ヴィーラント、ウールマンが“凄いよ”、“本当に”と口々に言った。
「校長閣下が作戦を立てたって噂、本当だったんだ」
「そうだね」
「でも校長閣下は何も言わないよね。昇進の事も勲章の事も言わない。内示が出てた筈だけど……」
「あんまり興味が無いのかな」
皆で顔を見合わせた。以前も双頭鷲武勲章の事で御祝いを言ったけど嬉しそうじゃなかった。
「宇宙艦隊副司令長官を断って士官学校校長になったんだ。昇進とか出世には興味が無いのかもしれないね」
僕の言葉にエッティンガーが溜息を吐いた。
「凄いなあ、僕には無理だよ」
僕も無理だ。何て言うか、僕らとは全然違う。まるで別世界の人間だ。
「異動になるのかな?」
トイテンベルクの言葉に皆が顔を見合わせた。
「なってもおかしくは無いよね。元々士官学校の校長になる人じゃないんだから。宇宙艦隊副司令長官かな?」
バウアーの言葉に皆がシュンとなった。寂しいな、校長閣下が居なくなるなんて……。
「あれ、知らないの。閣下は異動にならないよ」
教えてくれたのはワイツだった。こいつ、何時の間に居たんだろう。
「本当なの、ワイツ」
「ああ、向こう十年間は士官学校校長だってさ」
皆が“十年!”って叫んだ。
「士官学校の教育を改善するために十年間異動しないんだって。閣下が軍務尚書閣下に願い出て許されたらしいよ。兄貴が言ってた」
ワイツのお兄さんは軍務省の官房勤務だけど本当なのかな? 十年も異動しない? ちょっと信じられない。皆も顔を見合わせている。バウアーが“本当なの”と訊くとワイツが“本当だよ”と言って頷いた。
「だから士官学校に教官も増員されるんだ。それも校長閣下が願った事らしいよ」
そうか、校長閣下が就任してから色々と変わってきているけど一時的なものじゃないんだ。
「凄いや」
「うん、凄い」
皆が口々に“凄い”と言い出した。急に図書室に行きたくなった。
「僕、図書室に行くよ。急に本が読みたくなった。反乱軍の事、もっと知りたいんだ」
「僕も行くよ
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