46 夢の中の夢の夢。
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半分嘘で半分本当の話である。ここでその人は私、だなんて言ったら後がどうなるか。考えただけでも背筋が凍りつく。…一体私に何が起きるのか気にはなるが。
晋助はただ、そうか。としか言わず、ただひたすら私の背中をさすっている。
_「まぁ、とりあえず寝ましょ。寝ないことには明日は来ないし。」
と言って、布団を被った。
暗闇の中…またもや双子の夢である。相変わらず彼らは抱っこされて私を凝視しているし、だからと言って何も起こらない。またこのまま目が覚めるのかと思いきや、今回はそこで急展開を迎えた。双子を抱っこしていた彼女が急に変化を始め、誰かに変わっていく。変化しながら回転しているので丁度影になってしまい、誰になったのかは分からない。しばらく様子を見ていると、その姿は松陽先生だった。懐かしさのあまり近づこうとするが、わたしの体はなぜか動かない。どう頑張っても動かないので、もがいていると、後ろから声が聞こえた。
_「動こうとしてもそれは決して動きませんよ。だってそれは…」
危うく聞き逃しそうになったが、この声には聞き覚えがある。…そう、松陽先生の声だ。だが松陽先生にしてはどこか闇を含んでいる。なぜ、彼がここにいるのか…。
_「あなたのために私がわざわざ作って差し上げたのですから。…もうどこにも行かせない。娘よ…」
は?娘?
_「やっと見つけた。◯◯…”わたし”の愛した彼女の娘…そして私の娘。…道理で似ているはずだ。…私と共に行くのです…。」
背筋が凍るような感覚がして、目が覚めた。冷や汗をびっしょりかいている。呼吸が荒く、まだあの声が耳にこびりついて離れない。
_「どうした?…零杏…?」
静かに半ばパニック状態だったので、言葉が上手く口から出ない。
_「(私は一体何者?彼は誰?私の知らない人が…突然!なぜ?)?」
_「零杏、落ち着け。どうした、何があった?…ゆっくりでいいから、話してくれ。」
そう、彼の声は聞こえるのだが、私は私だけれど私ではない声で何かを話し始めた。
_「…お茶を頂けないかしら。」
そう、それは確かに私の声なのだ。だがそれは私の意志ではない。すると不意に声が響く。
_「安心して。私はあなたの味方よ。アンナ・イェラノヴァ…あなたも聞き覚えがあるでしょう?…あなたの演じていたもう一人の人格よ。獣とは違うわ。」
そう言って、後ろから足音がした。振り返ってみてみると、確かにそこには”わたし”が立っていた。…ただし目の色が碧いところが違うので判別がついた。
_「安心して。今は仮の夢状態にあるわ。もうじき目が覚めるでしょう。…私は獣ではないから、あなたを全力で獣から守る。そしてあ
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