暁 〜小説投稿サイト〜
問題児たちが異世界から来るそうですよ? 〜無形物を統べるもの〜
一族の物語 ―交わした約束― 主催者は終わりを夢想する
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輝の表情が変わる。
「ふぅん、まあ確かに湖札のギフトがあるんだから疑問に思ってもおかしくはない、か」
「私のギフトってようはそういうことだもんねー。むしろおかげさまで、真実を聞いた時にするっと受け入れられたし」
さて、そうなれば時間の使い方が変わってくる。養生と考察に使う時間で終わりではなく、養生と考察と対策に使う時間。作戦を立て、それを実行するための準備をして、ということに時間が使えるわけだ。
「となると、ギミックを解放されるところまで考えておいた方がいい、か」
「解放するとしたらどっちのギミックになるのかなぁ。どっちになったとしても面白そうだけど」
「俺としては、どっちも面白くねぇんだよなぁ」
「えー、主催者がそれでいいの?」
「俺のゲームじゃないからなぁ、これ。できることなら、あいつらが面白くしてくれることを祈るのみだ」
と言いつつ、空になった猪口を満たす。湖札がどうせ全部飲み干すつもりでいることは分かっていたので、それに付き合って酌をする。
「うーん……面白くしたいなら、もっと簡単な方法があるんじゃないの?」
「……それを言うか、妹よ」
「言いますよー、そりゃ。妹だもん」
言われて、一輝の頭の中に何度も浮かんだ考えが再びよぎる。一輝自身が、最大限に楽しむ方法。
そも、彼という存在は。正しい人間ではなく、イカれた人間であり。どのようにイカれているかといえば、同等の存在との殺し合いが最も楽しいと感じる人間である。
自分より弱いモノとの戦いに楽しさは存在しない。それは蹂躙であって、戦いとは呼べないものだ。
共に戦う存在のいる戦いに楽しさは存在しない。戦場に立つ仲間のことを考えなければならないなど、億劫でしかない。
使命の存在する戦いに楽しさは存在しない。あらゆるしがらみを捨て、一切意義の無いただの殺し合いでなければ、楽しめるわけもない。
格上との戦いに楽しさは存在しない。自らを上回る存在とのそれは戦いではなく挑戦であり、殺し合いたりえないのだから。
そういう意味では、そう。箱庭に来てから彼が楽しめた殺し合いは、隣に座る少女とのそれくらいのものだろう。
であれば、彼が全力で楽しむには?そんなこと、考えるまでもないほどに簡単なことだ。魔王として大暴れして、人類の試練として保有する主催者権限を行使してしまえばいい。誰もが魔王であると認識して、神群ですら無視できないほどに被害を及ぼしてしまえば……確実に、討伐隊が派遣される。
彼の魔王、アジ=ダカーハを殺し、その霊格を獲得した魔王。そんな存在を討伐するとなれば、どれほどの英雄英傑が派遣されることか。一瞬よぎったその考えに舌なめずりしつつ。
「まあ楽しいだろうけど、さすがになぁ」
「我慢するんだ?」
「これでも俺、箱庭とかノーネームの
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