503部分:第三十話 ワルキューレの騎行その二
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第三十話 ワルキューレの騎行その二
だからこそだ。今言うのだった。
「そしてフランス等に翻弄されてきました」
「そうですね。このバイエルンもです」
「何度も利用されてきました」
そのフランスにだ。
「ですから」
「フランスはドイツの敵です」
王はこのことを言い切った。
「おそらくこれからもです」
「これからもですか」
「はい、これからもです」
そうだというのだ。王はフランスについて話していく。
「そうした意味でこの戦争は必然です」
「そして勝たなければならない」
「そうした戦争ですね」
「ドイツの統一は我々にも多くのものをもたらします」
王はわかっていた。あらゆることを。
そしてだ。さらにだった。そのわかっていることを述べていくのだった。
「文化に芸術、そして」
「そして?」
「そしてといいますと」
「将来は融和も」
そこまで見ていた。未来まで。
「今のこのプロイセンへの反発は所詮は一時的なものです」
「一時的なですか」
「そうなるのですか」
「結果として」
「そうです。ドイツは一つになり」
そしてだというのだ。さらに。
「そしてドイツ人もです」
「まさか。それは」
「一つになりますか」
「これだけ対立しているのにですか」
「一つに」
「はい、なります」
そうなると。王は未来を語っていく。
「宗教や感情を超えてです」
「そうなるとは思えませんが」
「とてもです」
「プロイセンとバイエルンが一つになる」
「まさか」
「なります」
王は見ていた。そのドイツの未来まで。
しかし誰もだ。その未来はだ。
誰も理解できずにだ。首を捻るばかりだった。そしてだ。
王に対してだ。それぞれこう言うのだった。
「カトリックとプロテスタントすら融和できていないというのに」
「戦争にならないだけましだというのにですか」
「そこまで我々は一つになりますか」
「やがては」
「例え分裂しても」
それでもだというのだ。それがあっても。
「我々は一つになることを望むでしょう」
「プロイセンとバイエルン」
「その二国ですらですか」
「一つになって」
そうしたことを話してだった。彼等は。
王の考えがどうしても理解できなかった。彼等は今しか見ていなかった。王は未来も見えるということもわからずだ。それで言うのだった。
しかしだ。王は。
同時にだ。こうしたことも言った。
「若しもそれが共産主義かそれに近いものによって為されるのなら」
「ドイツの統一がですか」
「それがですか」
「統一に続く団結です」
団結、それだった。
「それです」
「団結ですか」
「それが共産主義等によって為されるのならばですか」
「どうなるでしょうか、
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