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戦国異伝供書
第二十一話 天下布武を固めその五

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「整える、そしてな」
「そのうえで」
「民をより楽にしよう」
「そうされますな」
「うむ、それと信濃は広いが」
 信長はこの国のことも話した。
「この国一国を治めると八十万石はある」
「それだけの国になりますと」
 林も言ってきた。
「一つの家に預けることは」
「出来ぬ、多くの家に少しずつな」
「与えてですか」
「治めさせる、それで上田じゃが」
 信濃の中でもこの国のことを話すのだった。
「真田家に治めさせるが」
「あの家ですか」
「あの家は油断ならぬ、少しでも何かあれば」
 その時はとだ、信長は言うのだった。
「強い家についてな」
「そうしてですか」
「生き残ろうとするわ」
「そうした家ですか」
「武田家には忠義を尽くしておるが」
「その忠義は」
「生きるとなれば。若し武田家が滅んでいれば」 
 その時はというと。
「新たな主に仕えてな」
「生き残っていましたか」
「そうしようとしておった、あの家は違う」
「そういえば」
 ここで石田がその目を鋭くさせて言ってきた。
「真田家は元々姓が」
「源平藤橘のな」
「どの家でもありませんな」
「真田は真田じゃ」
「そうした家とのことですな」
「お主もあの家のことは聞いておろう」
「元は山の民だとも」
 石田は己が聞いたことをだ、信長に述べた。
「その様にもです」
「言われておるな」
「そしてこのことは」
「おそらくな」
「間違いないことかと」
「だから我等とは何かが違う」
「平地の民達とは」
 石田は目を鋭くさせたまま述べた。
「そうしたものを持っていて」
「そのうえでじゃ」
「いざとなれば」
「素早く動いてな」
 生き残る、その為にだ。
「そうするであろう」
「それが真田家ですか」
「しかし真田源次郎という者は」
 信長は幸村のことも話した。
「その真田家の中でもじゃ」
「はい、あの者はどうも」
 滝川が言って来た。
「例え山の民の出、そしてその真田家でも」
「武士道を歩みな」
「その武士道を貫く」
「そうした者じゃな」
「生き残りを第一とする真田家の中でもまた違い」
「それでじゃ」
 そうした者でというのだ。
「わしはあの者を常に傍に置きたい」
「その真田源次郎を」
「そう考えておる、あの者もおれば」
 幸村、彼がというのだ。
「どれだけよいか」
「あの者の武勇は天下無双」
 佐々が言ってきた、織田家の中で最も血の気が多く武勇にも優れていると言われている彼がである。
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