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永遠の謎
499部分:第二十九話 人も羨む剣その二十一
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第二十九話 人も羨む剣その二十一

「陛下もそのことは御承知だしな」
「王であり続けるしかないことを」
「そうだ。それしかない」
 こうした話だった。それでだ。
 王について。それでだった。
「王であられ続けるしかないのだ」
「難しい話ですね」
「全くな。だが」
「だが?」
「私は陛下の御心を乱したくないのだ」
 このことをだ。切実に言うのである。
「どうしてもだ」
「しかしどうされますか」
「あの方の望まれるようにしよう」
 これが公爵の考えだった。
「それが一番いい筈だ」
「バイエルンにとってもですか」
「そう思う。あの方御自身にとってもそのバイエルンにとっても」
「ひいてはですね」
「ドイツの為でもある」
 そのだ。統一される国の為でもあるというのだ。
「そうするべきなのだろう」
「そうであるといいのですがね」
 ホルンシュタインは今は公爵の言葉に頷いた。そうしてだ。
 そのうえでだ。こう言ったのだった。
「私としてもあの方には幸せになってもらいたいのですから」
「そうしてくれるか」
「はい。ただあの方は」
 王はだ。どうかというのだ。
「行動が読めませんね」
「あの方を理解するのは難しいことだ」
「何を御考えなのか何をされるのか」
 そうしたことがだ。どうしてもだった。
 ホルンシュタインは常識の、この世のことから考える。それでだった。
 そのことを話してだ。彼は。
 難しい顔でだ。王について話すのだった。
「麗しい方だけに余計にです」
「残念か」
「はい、私としても陛下が望まれる様にしたいのですが」
「それができないと」
「はい、できないのかも知れません」
 ホルンシュタインはここまで言いだ。溜息を吐いた。
 そのうえでだ。言う言葉は。
「それが残念であります」
「わかっているのはエリザベート様とワーグナー氏か」
「それにビスマルク卿もですね」
「そうだ。ミュンヘンにおられればいいのだが」
 こんなことを言ってだった。彼等は。
 今は休みだ。そうしてなのだった。
 これからのことも考えていた。どうするべきかだ。
 だが王のことは完全にわかってはいなかった。傍に理解者のいない王は気遣ってくれる者の傍にいた。その彼はというとだった。
 ホルニヒは今日もだ。動き回っていた。そしてだ。
 侍従達にだ。このことを話していた。
「陛下は夜にしたいとのことです」
「御食事をですか」
「夜にですか」
「そう、夜にです」
 王のスケジュールについての話だった。
「夜に御願いします」
「わかりました。それでは」
「シェフに伝えておきます」
「御願いします。メニューもです」
 ホルニヒはメニューの話もした。
「フランスのそれを御願いします
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