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麗しのヴァンパイア
第九十二話

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                 第九十二話  三部作
 美奈子は華奈子に三銃士のことをさらに話した。
「三銃士のお話が第一部らしいの」
「第一部なの」
「全三部作でね」
「三銃士のお話はそのうちの三分の一なのね」
「それで第二部が十年後で」
 それでというのだ。
「第三部は鉄仮面よ」
「鉄仮面って映画の?」
 仮面の男という映画からだ、華奈子は言った。
「それよね」
「そう、ちなみに原作でも最後ダルタニャン死ぬから」
 主人公の彼はというのだ。
「鉄仮面だとアトスもポルトスも死ぬの」
「アラミスだけ生き残るの」
「映画じゃ死ぬのはダルタニャンだけだったけれど」
「三銃士のうち二人も死ぬの」
「それでダルタニャンまで死んで」
 そうしてというのだ。
「お話終わるの」
「ううん、ダルタニャン死んじゃうの」
「学校の先生に教えてもらったけれど」
 その三銃士のことはというのだ。
「それだけ長くてね」
「最後はそうなるのね」
「ちなみに鉄仮面の正体はね」
「あれ王様の兄弟よね」
「物語ではそうだけれど」
 それがと言うのだった。
「実は実在人物で」
「それあたしも聞いたわ」
 鉄仮面が実在人物であることは華奈子も聞いて知っているのだ、そして華奈子はさらに聞いて知っていた。
「あのお話の登場人物殆どそうだってね」
「それで鉄仮面も実在してたけれど」
「実際も王様の兄弟じゃないの?」
「実は今もわからないのよ」
「えっ、そうなの」
「そう、一体誰だったのか」
 このことは実際のことだ、鉄仮面が何者だったのかは現代でも諸説あるうえに確かな証拠は存在していないのだ。
「わかっていないの」
「そうだったのね」
「それで今もね」
「正体は誰だったか」
「わかってないの」
「そうなのね」
 華奈子は美奈子に教わりこのことがわかった。
 そうしてだ、二人で物語のことをさらに話していった。まだ子供と言っていい年齢だが文学への目覚めがそこには確かにあった。


第九十二話   完


                 2018・9・26
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