「……プレゼントは、照れます」
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!」
「キリトくん……」
そのままプレミアに大差をつけられてたまるかと、キリトも指導を放棄してすぐさま釣竿に飛び込んだ。ただしプレミアとの差は全く埋まることはなく、ただただプレミアがキリトの分まで釣り上げる時間が過ぎていく。
「あ、キリトくん!見てみて、わたしも釣れたよ!」
「ぐぬぬ……」
「キリトくん……」
「む」
「プレミアちゃん、どうしたの?」
コツを掴んだアスナもそこそこ釣れだしたものの、慌てたキリトは釣り運に恵まれることはなく。そのままプレミアに大差をつけたのみだったが、そのプレミアが釣竿を持ちながら苦い顔をして。
「すごく重いです。キリト、手伝ってもらえませんか?」
「え? ああ」
「……ちょっと待ってキリトくん。このパターン……」
「せぇ……のぉ!」
釣竿がプレミアの筋力値では持てないほどに強く引っ張られ、このままではプレミアごと湖に引きずり込まれそうなほどの事態に、キリトは自分の釣竿を放り投げてプレミアのものを掴むと。そんな光景にデジャブを覚えたアスナの言葉を聞くことはなく、プレミアとタイミングをあわせて勢いよく釣竿を引っ張った。
『クギャァァァァァ!!』
大地を引き裂くかのような金切り声とともに、プレミアの釣竿に引っ張られて爬虫類と魚類の進化途中のような、手足のついた巨大なシーラカンスといった様相のモンスターが現れて。その登場だけで湖の水を周囲にぶちまけたことになり、釣った当人であるキリトとプレミアは水浸しとなった。
「キリトくん、プレミアちゃん、大丈夫ー?」
「……ズルいぞ、一人だけ逃げるなんて」
「またキリトさんたちですかなー?」
「プレミアは下がって……プレミア?」
アスナ含む他の釣り人たちは金切り声が聞こえた時点で空に逃げたらしく、強制的に水浴びさせられたのはキリトとプレミアだけらしいのは、呑気に遠くから見物しているらしいニシダさんの声でわかる。どうやって現れたかは忘れていたが、今度は武器を忘れることはなかったキリトは、手早く終わらせようと片手剣を取り出してプレミアを下がらせようとすると。
「いえ、わたしが戦います」
「え? いや……おい!?」
「ショウキへのプレゼントに相応しいレア物です――!」
そうしていつかの日のように。シーラカンス系のボスは細剣によって討伐されたが、釣り大会の優勝者は以前の人物とは異なっていた。
「ショウキ。プレゼントです」
そうしてリズベット武具店に帰るなり、びしょ濡れになったプレミアから、ショウキは皿に乗った刺身を渡された。いったいぜんたいどういう状況なのか分からず、その光景を共に見ていたリズも、ポロリと持っていたハンマーを取り落とした。
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