「……プレゼントは、照れます」
[4/6]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
ニシダさんを囲むプレイヤーとは少し距離を取っていた二人は、確かにキリトとアスナだった。どちらも私服姿のまま軽く挨拶を交わすと、ニシダさんは用意された目立つ高台へ登っていく。
「プレミアちゃんに釣りの趣味があったなんて知らなかったよー」
「いえ、はじめてですがニシダさんに誘われまして。つまり、師匠たちは釣りが趣味?」
「俺たちはニシダさんの古い知り合いでさ。まあ、同じく誘われたんだ」
「えー、大変長らくお待たせしました。あの事件から一年半、ようやく皆さんでここに戻って来れたことを……などという長話はよしとして!」
そのまま《拡声魔法》を使ったニシダさんの声が湖に響き渡るとともに、辺りからまばらな拍手が向けられ、プレミアもとりあえず真似してパチパチと手を叩いていく。
「ルールは簡単、一番の獲物を釣り上げた人が優勝です。では久方ぶりの再会とともに、楽しんでいきましょう!」
簡単な主催者の挨拶が終わり、拍手もそこそこにプレイヤーたちは目星をつけていたポイントへ向かっていく。どうやらニシダさんが来るまでに決めていたのか、迷いなく釣竿を持って中には飛翔する者までいて。
「ははは。これは出遅れてしまいましたかな」
「じゃあニシダさん。俺たちも二連覇を狙わせてもらいます」
「お手柔らかに。……もし前のようなのが釣れたら、よろしくお願いしますぞ」
そう言い残すと、ニシダさんも小走りにポイント探しに向かっていく。先程まで沢山いたはずのプレイヤーが、気づいたらいなくなったことに驚きながらも、プレミアは貰った釣竿を握りしめて。
「プレミアは釣り、始めてだろ? 俺が教えてやるよ」
「私も初めてなんだ。一緒に頑張ろうね!」
「はい。誰にも負けません」
「き、気合い充分だな……」
そうして経験者であるキリトに連れられて、プレミアは湖へと歩を進めていた。とりあえず言われた通りに釣糸を垂らして、ゆっくりと座り込んで魚が釣れるのを待っていると、プレミアは不思議な落ち着きを感じていた。これが『釣り』というものですか――と納得していると、釣竿がピクリと反応する。
「いいか二人とも。釣りっていうのは精神の鍛練だ。精神を集中して自分はここにいないと魚に思わせて――」
「釣れました」
「な!?」
「わ! プレミアちゃん上手いね!」
「そうでもあります」
そうして幸いなことに、プレミアには釣りの才覚があったらしい。キリトの言う通りに釣糸を無心に垂らすなら得意分野というべきか、元なんの設定を持たないNPCの面目躍如というべきか。何が役に立つかわからない、と素材とにらめっこしてショウキが言っていた意味が、プレミアにもようやく分かっていた。
「くそっ負けるか
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ