「……プレゼントは、照れます」
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に耐えながら語りだす。
「そこの湖で釣り大会をするのですが、うまく釣れたら珍しい魚料理などプレゼント出来るやもしれませんぞ?」
「『つり』……?」
「おや、知りませんかな? この竿で魚を釣り上げるのです」
「なるほど」
わざわざ老人プレイヤーがストレージから取り出してくれた釣竿を持たせてもらい、プレミアはリズベット武具店で見たことがあると思い出す。売れたところは見たこともないが。とにかく珍しい魚料理というのは魅力で、他の人とも被らずに自分らしいプレゼントだろうと、プレミアもそれをショウキに渡すところを想像していたくご満悦で。
「ですが、わたしはその釣竿を持っていません」
「安物でよければ、その釣竿をあげますよ」
「ありがとうございます。わたしも参加させていただいてよろしいですか?」
「はは、参加などという堅苦しいものではありませんので。ただ、昔のゲーム仲間の内輪イベントですので、少し居づらいかもしれませんが……」
「大丈夫です。わたしはもはや魚のプレゼントしか目に入っていません」
「その意気ですな。会場はすぐそこの湖ですから」
こういう子なんだな――とプレミアの扱い方を早くも学習し始めた老人プレイヤーに連れられ、釣竿を貰ったプレミアは脳内で必死のイメージトレーニングを繰り返す。そんなイメージトレーニングの中、ふと、お互いに自己紹介をしていないことを思い出して。
「そういえば自己紹介をしてませんでした。わたしはプレミアといいます」
「おお、これは失礼を。ニシダ、と申します」
老人プレイヤー――ニシダと名乗られ、プレミアは一瞬だけ目をぱちくりさせた。姿だけでなく名前まで変わっている、とプレミアが口に出す前に、林を抜けて会場の湖へとたどり着いた。そこには確かに大勢のプレイヤーがいたが、誰も鎧を装備したような者はおらず、釣りというのはプレミアが思っているより気楽なイベントらしいと思い直す。
「ニシダさん!」
「大丈夫でしたか、PKにやられたかと……」
「ははは。なに、ちょっと拾いものをしましてな。こちらはプレミアさん、さる事情で参加したいということです」
「孫娘か何かですか?」
「プレミア!?」
そのニシダというプレイヤーの人望か、プレミアも含めて見たことのない数のプレイヤーに囲まれる中、聞いたことのある声がプレミアの耳に届いた。
「キリトに閃光師匠です」
「おお、キリトさんにアスナさん。来てくれましたか……お知り合いですかな?」
「え、ええまあ……プレミアちゃん、師匠はやめてってば!」
「今日はお招きいただきありがとうございます」
「いやいや、一番の大捕物をした相手を呼ばないわけには! ……と、失礼」
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