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永遠の謎
493部分:第二十九話 人も羨む剣その十五
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第二十九話 人も羨む剣その十五

「どう思うか」
「城のことでしょうか」
「あらゆることについてだ」
 返事に対しても言った。その返事の主は。
 不意に出て来た。そのバルコニーのところに。彼は。
 あの騎士だった。白い月の光に照らされている騎士はこの時も銀の鎧と白いマントにその身を包んでいる。その彼が剣を抱いて立ちだ。
 そしてだ。こう王に言うのだった。
「わかりました。ではお答えしましょう」
「卿はどう思うか」
「陛下は為すべきことをされています」
 そうしているとだ。剣を抱く騎士は王に答えた。
 そしてだ。それからこうも述べた。
「運命のままに」
「城もワルキューレもか」
「はい」
「そしてドイツのことも」
「左様です。全てです」
「因果なものだ」
 騎士の静かな返答を聞きだ。王は。
 辛い顔になりワインをテーブルの上に置きだ。こう言った。
 座っているソファーはフランス製の豪奢なものだ。そこに深々と座り足を組んでいた。そうしながらだ。王は言うのであった。
「私の為すことは全て決まっているのか」
「陛下は選ばれた方ですから」
「選ばれた。何にだ」
「神に」
 まさにだ。その神にだというのだ。
「陛下はそうした方なのです」
「だからか」
「はい、全ては決まっています」
「いいのか」 
 王はその騎士に顔を向けて問うた。
「私が選ばれて」
「そのことについてですね」
「そうだ。私は女性を愛せない」
 このことをだ。どうしても言わずにはいられなかった。それでだ。
 騎士にもこのことを話してだ。そうしてなのだった。
 憂いに満ちたその顔を白い月の光に照らさせて。
「その私がなのだ」
「はい、それもまたです」
「神が定められたというのか」
「その通りです。陛下につきましては」
「わからない」
 どうしてもだとだ。王は騎士に述べる。
「何故私はそうなのか」
「それはやがておわかりになられることです」
「では今はか」
「はい、御気になさらずそのままです」
「同性を愛していいのか」
「同性であって同性ではないですが」
「?どういうことだそれは」
 騎士の今の言葉は王にとってはわからないことだった。それでだ。
 首を捻ってからだ。騎士に顔を向けて問い返した。
「同性であって同性でないとは」
「今申し上げてもいいでしょうか」
「いや」
 一瞬問おうとした。しかしだ。
 何故か心の中でそれを止めるものを感じてだ。それは止めた。
 そのうえでだ。騎士にこう言ったのだった。
「言えばそれでどうにかなるかとも思えない」
「だからですか」
「そうだ。いい」
 こう言うのだった。そのうえでだ。 
 王はだ。あらためて彼に尋ねた。
「しかし私がワルキューレ
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