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レーヴァティン
第八十二話 最後の一人その六

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「では手合わせを」
「するかどうかはわからない」
「そうなのですか」
「言っておくが道場破りではない」
 英雄はこのことは否定した。
「俺達にその趣味はない」
「そうなのですか」
「必要ならするがだ」
 それでもというのだ。
「今の俺達に必要なものではない」
「だからですか」
「それはしない、そしてだ」
「はい、あの方にですね」
「会いたい、手合わせをするかどうかはだ」
「その後で、ですか」
「考える、少なくとも会いたい」
 このことは絶対だというのだ。
「ではいいな」
「それでは」
 若侍は英雄の言葉に頷いた、そうしてだった。
 一行を道場の入り口に案内して自身は一旦英雄達に断りを入れて道場の中に戻ることにしたのだった。
「少しお待ち下さい」
「道場の主にだな」
「皆様のことをお伝えします」
 その為に一時道場の中に戻るというのだ。
「そうさせて頂きます」
「わかった」
 即座にだ、英雄は若侍に答えた。
「ではな」
「ここで待って頂けますね」
「そうさせてもらう」
「それでは」
 こうしてだった、若侍は一旦中に戻った。そうしてだった。
 英雄達は暫し待つと思ったがすぐにだった。若侍は戻ってきてそのうえで彼等に対してこう言ってきた。
「ではです」
「道場にだな」
「お上がり下さい」
 こう言うのだった。
「我が師からお許しが出ました」
「そうか、ではな」
「はい、今からです」
「上がらせてもらう」
「その様に」
 こうしてだった、一行は道場に上がった。そしてだった。
 道場の隅で最後の一人に会った、すると黒髪を腰のところまで伸ばした凛とした顔立ちに切れ長の黒い強い輝きを放つ目を持つ少女が出て来た、背は一六五程で随分小さい。 
 白い着物に黒い袴という服装で胸が目立つ、英雄はその少女とお互いに頭を垂れた挨拶を仲間達と共にした。
 そうして向かい合って話そうとしたが女の方から言ってきた。
「ようこそ」
「この街にか」
「はい、それで私に御用となると」
「わかるか」
「伝承の話は聞いています」
 既にという返事だった。
「そして私自身のこともわかっています」
「だからか」
「それで承知しております」
「時が来たとか」
「その様にも」
「なら話が早い、この度はだ」
「貴方達と共にですか」
「戦ってくれるか」
 英雄は女の目を見て問うた。
「そうしてくれるか」
「はい、ですが」
「その前にか」
「挨拶をしておきたいのですが」
「この道場の主にか」
「そうです、我が師にです」
 女は英雄にこう答えた。
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