490部分:第二十九話 人も羨む剣その十二
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第二十九話 人も羨む剣その十二
「それが私の城の名だ」
「ノイシュヴァンシュタイン」
「その名は」
その名を聞いてだ。誰もがだ。
不思議なものを感じた。ただこの世にあるだけではない。
そこに無限の幻想がありだ。その中に浮かんでいる様な。
そのこの世ならぬ美を感じながらだ。王の言葉を聞いてだ。言うのだった。
「不思議な名ですね」
「何か実に」
「いい名前だろうか」
城の名を言ってからだ。王は。
彼等に顔を向けてだ。それであらためて尋ねたのだった。
「この名は」
「そうですね。何か」
「この世のものではないような」
「そんな感じがします」
「不思議と」
「ではこれでいいな」
彼等の言葉にだ。王もだ。
まずは満足した顔になった。そうしてだ。
彼らにだ。こうも話すのだった。
「自然と幻想、そして科学を一つにした城にしたいのだ」
「これまで誰も築いたことのない」
「そうした城をですね」
「私は。私の夢を今この世界に生み出したいのだ」
これもだ。王の願いだった。
「その為にもだ」
「この城を築かれるのですね」
「この地に」
「他にも考えている」
そしてだ。それはだ。
このノイシュヴァンシュタイン城だけではなかった。他にもあるというのだ。
その他の城についてもだ。王は話していく。
「ワーグナーとフランス芸術、そして現代の科学を合わせた城はこれだけではなくだ」
「他にもですか」
「築かれるのですか」
「そう考えている」
王の夢はだ。今大きくなろうとしていた。
そしてそれを止めないままだ。王は話していくのだった。
「是非な。このドイツの森と山の中に」
「そして湖の傍にですね」
「陛下の愛される」
「自然は何もかもを包み込んでくれる」
自然への憧憬もだ。王は強く持っていた。
その中でも特にだ。これについてだった。
「森は特にだ」
「ではどの城も森の中にですか」
「築かれるのですね」
「その通りだ。森だ」
何につけてもだ。そこだった。
「森の中に。ドイツの森の中に」
「城を築かれる理由はそれが奇麗だからでしょうか」
ここでだ。一人が王にこう尋ねた。
「だからでしょうか」
「それもあるがそれ以上にだ」
「それ以上にですか」
「ワーグナーには常に森がある」
だからだというのだ。王はまずワーグナーがあった。このことは王がかつて読んだワーグナー自身の書、そして十六の時に観たあのローエングリン、そこからはじまっていた。
その森があるからこそだと。王は述べてだった。
「だからだ」
「ワーグナー氏の森にですか」
「ワーグナーは森だけではない」
ワーグナーは一つのことだけでは語れないともいうのだ。
「城もある」
「陛
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