「……ショウキは……『ずるい』です……」
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を一瞬で諦めさせるほどの威力を秘めていた。
「わたしがどれだけ皆さんと一緒に冒険したいと思ってるんですか? あなたが平気でしていることは、わたしがどれだけ望んでいると!」
いくら役立つ存在であろうとも、彼女のこの世界での役割はナビゲーション・ピクシーだ。どんなに彼女が望んだとしても、キリトたちと肩を並んで戦うことは出来ないのだ……プレミアと違って。
「だいたいですね、ショウキさんたちが優しいからって、家出して気を引こうとするなんて子供ですか!」
「それは、ショウキが……」
「言い訳しないでください!」
そして当のプレミアは、ユイの剣幕に明らかに動揺していた。そうしてこの世界が破壊されるか否かという危機的な状況は、気にくわないことがあったから家出した少女への説教へと事態は急転した。故にこういう事態になったのは、ショウキが甘やかしすぎたからだ――と暗に言われているようで、ショウキ自身も説教されているような感覚に陥っていた。
「ショウキさんがそう言ったのも、そもそもプレミアがわがままを言ったからですよね?」
「それは、その、そうですが」
そんな風に怒られたことが初めての経験になるプレミアは、ユイの言葉に身体を竦ませつつショウキの方に助けを求めるような視線を向ける。それはユイにも分かったようで、深呼吸を一つ。
「それでプレミア。何か言うことはありますか?」
「…………申し訳ありませんでした」
ペコリと頭を下げるプレミアに、ユイも満足したように鼻を鳴らす。ようやく終わったかと、流れ弾にごとごとく被弾していたショウキも、髪を掻きながらユイより前に立って。
「こっちも言い方が悪かった。ごめんな……。とにかくここは危険だ、帰ってからもう一度話そう」
「はい。よろしければ……どんな結論にたどり着いたとしても、ショウキたちの側で、でいいですか?」
「……ああ」
涙を拭いて、泣き顔をどうにか笑顔に戻しプレミアは歩きだした。ゆっくりとショウキへと歩み寄ると、手をさしのべて決意するように言葉を吐く。
「『にんげん』になりたい気持ちは嘘ではありません。ですがなんにせよ……わたしはこの世界が好きです。壊したくありません」
何も持たなかった少女は、いつしか心を持った一人の人間として成長していた。ただそれはどうしようもない挫折をも味わうこととなり、一度は与えられた使命に逃げようとするほどだったが、同じ運命の少女からの言葉に挫折を抱えつつもある結論にたどり着いた。
「――ショウキ! プレミア!」
どうにか無事に解決した――とまではいかないにしろ、ひとまずは安心だと。安堵の息を吐くまでもなく、リズの声が聖道内に響き渡った。そちらへ振り向くとともに、リズのさらに背後
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