「……ショウキは……『ずるい』です……」
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葉はショウキの口から勝手に出てきていた。
「……ああ、困るな。プレミアもプレミアが好きな世界も、どっちもなくなったら困る。だから、そんなことはやめてくれ」
「……ショウキは……『ずるい』です……」
それでもプレミアには何か感じるところがあったのか、会話を初めてようやく祈りを止めてショウキの方に振り向いた。その表情は先にリズベット武具店を去るときと同様に、胸を――『こころ』を抑えて泣いていた。
「でも、どうしろっていうんですか。わたしは『にんげん』にはなれません、わかってるんです……!」
「……プレミア。わたしもそう思ったことがないと言えば嘘になります」
しかして議題は最初の問題に戻る。プレミアがいくら学ぼうと、彼女なりの『こころ』を手に入れようと、どうやってもプレミアは彼女が望む人間になれはしない。ただしそれに応えるべきはショウキではなく、彼女と同様の存在であるユイだった。妖精から本来の姿に戻ったユイは、プレミアの方へ歩み寄っていく。
「こんなAIではなく、現実でパパとママの子供だったなら。もっと二人と触れあえたかもしれません」
「そうです。でも、わたしたちにそれはできません。本当のショウキたちに触れることすらできないんです!」
「でも……AIだからこそ、わたしはパパとママ、皆さんに出会えました」
感情が高ぶるという初めての感覚を覚えながら、プレミアはユイにそんな激情を浴びせていく。しかしてユイはそんな激情を甘んじて受け入れ、プレミアの気持ちを理解しながらも、自分がAIであるからこそキリトたちに会えたのだと。
「わたしたちはAIです。どうやっても人間にはなれません。でもAIにしかできない……AIならではの、愛し方があります!」
「愛し方……?」
「はい。わたしはパパやママを最期の最期の瞬間まで見届けます。それは、寿命というものがないわたしにしか出来ないことです」
ユイの言葉はさらに続いていく。AIだからこそキリトたちに会えたのならば、AIだからこそ出来ることもあるのだと。その言葉にプレミアは初めて動揺する……というよりは、納得するような姿勢を見せたものの、それを振りきるように返答する。
「ですが……わたしには何もできません……」
「っ……わたしが、わたしがどれだけあなたをうらやましがっていると思ってるんですか! ……いつまで甘えてるんです!」
「わたしが、うらやましい? あまえて、る?」
「ユ、ユイ……?」
「ショウキさんは黙っててください!」
「あっはい」
……そんなプレミアの曖昧な態度が気にくわなかったのか、説得しようとしていたユイの声色が豹変する。怒ったときのアスナのようなその雰囲気は、割って入ろうとしたショウキの介入
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