「……ショウキは……『ずるい』です……」
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ルゴは合図を出すようにチラリとショウキを見る。
「カイサラ。提案がある?」
「提案?」
「俺とお前の一騎討ちで決着をつけたい。勝ったら通してもらう、負けたら帰る。簡単な話だ」
そこでアルゴに変わってショウキが会話の先頭に出るとともに、まるで脈絡のない一騎討ちの提案をしてみせた。提案が蹴られればショウキたちは弓矢で射殺されるだけだが、カイサラは絶対にこの提案を断ることが出来ない――それが今までの会話で、アルゴが仕込んでいた《鼠の毒》の効力だ。
「なるほど……だが、刀は持ってきているのだろうな」
「ああ」
水増しした射手のことから目をそらせる、カイサラは自分の力量に圧倒的な自信を持っており、部下に余計な損害を与えることを嫌い、ショウキに興味を持っている。それらの条件が重なり、ショウキが日本刀《銀ノ月》を見せることで提案を受けさせる。
「いいだろう。一発勝負だ」
「……負けんじゃないわよ」
ショウキはリズに背中を押されながらカイサラに近づいていき、ともに愛刀を腰に帯びて抜刀術の構え。確かにこれならば、どちらの刃が先に相手を切り裂くかで勝負が決まるだろう。お互いにお互いの隙を狙うように、ゆっくりと移動しながら抜刀術の射程ギリギリを交差する。
「――せやっ!」
しかして勝負は一瞬であり、先に刀を抜いたのはカイサラだった。彼女の専用の刀はまるで死神の鎌のようにショウキの首を狙い、新しいアバターとなって日本刀《銀ノ月》を使うことの出来ないショウキには、まるで反応することは出来なかった。
「――――ッ!」
いや、ギリギリのところで防御は出来たのか、刀と刀のぶつかり合うような金属音が響き渡った。ただしカイサラは一撃程度で終わるような実力者ではなく、素早く反転した二撃目は日本刀《銀ノ月》の防御をすり抜け――マントを切り裂いた。
「な」
カイサラは感じたあまりにも手応えのなさに、一言だけ驚愕の声を呟いた。何故ならそこにあったのは、マントと日本刀《銀ノ月》のみ。ショウキの姿はどこにもなかったからだ。
「貴様――」
カイサラが気づいた時にはすでに遅く。ショウキは最初からカイサラを倒す気などなく、日本刀《銀ノ月》とマントを囮に斬られたふりを演出しつつ、聖堂の入口へと飛翔していた。その狙いに素早く気づいたカイサラだったが、ショウキではない人物がすでに立ちはだかっていた。
「悪いが、こっから先は通行止めだぜ」
二刀の黒き剣士。カイサラはいつの間にか、自分が聖堂にいけないように足止めされている側になっていることに気づくが、林の中の射手部隊もリズとアルゴの突撃によって荒らされ指示を出せる状況ではない。ショウキだけではあるものの、聖堂への突破を許してしまったの
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