第2話 たとえ、蛮勇だとしても
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参道から村へ戻った私は、迎えに来てくれたお兄さんに何時もの様にお礼を言って別れた。
そこからは勿論自宅に直行。家事を手伝う事で少しでもお母さんの負担を減らせればと何時もの様に頑張る気だ。
そうして扉をノックして帰って来たよーと言う声と共に入ると、涙目の甘凪が私に飛びついて来る。
「お姉ちゃん!」
「どうしたの甘凪?もう13にもなってお留守番が寂」
「お母さんが倒れたのっ!」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・えっ」
甘凪からの言葉が信じられなかった。いや、直には受け入れられなかった。
「礼拝堂で神父さんが診てくれてるから一緒に来てっ!」
帆波は、まだこれが夢なんじゃないか?と言う心地で、甘凪に引っ張られる様に教会へ向かった。
−Interlude−
「お母さん!お姉ちゃん連れて来たよっ!」
礼拝堂は村から少し距離がある場所にある。
到着した私は甘凪に連れられて、中の一室にまで引っ張られて来た。
そこには今までとは比較にならないほど病弱なお母さんの姿が在った。
「甘・・・凪。帆・・・波・・・?」
「お・・・お母さん!」
あまりの姿に飛びつくように近寄る帆波と甘凪。
「2人共、ごめんね?心配かけて・・・」
「そんな事はいいの!それより容態は?すぐ直るの?」
「それは・・・」
そこへ帆波たちに声に気が付いたのか、神父が入室して来た。
「矢張りもう来ていましたか」
「っ、すみません神父様。うるさかったですか?」
「いえ、まあ、声を荒げる気持ちも解りますから。次からは気を付けてください」
「は、はい。それで神父様、お母さんの容態は如何なんですか?」
当然気になる疑問だ。帆波は恐る恐る聞く。
「そうですね。一之瀬さんの体はある毒に体を蝕まれています」
「毒?」
「どうして!い、いえ、それよりもお母さんは直るんですか?」
「解毒剤さえあれば直りますが、一之瀬さんの体を蝕んでいる毒は特殊でして。この村には有りませんが、お隣の村になら販売されているかもしれません。ただし高級品です」
「ッ」
経済状況が悪い家には本来であれば手が出せないモノだ。だけどお母さんの命には代えられない。
「だったらお父さんの遺産の残りをいくら使ってでも買いに」
「無理なのよ・・・」
「え・・・?無理ってどういう・・・?」
「御2人には心配掛けさせたくなくて黙っていた様ですが、今はもう亡き一之瀬さんの旦那様が残していた蓄えはもう底をついているそうですよ?」
神父の言葉に激震走る帆波。
「ほ、本当なのお母さん・・・?」
「ごめんな・・・さい
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