機動戦士ガンダム
2248話
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『きゃあっ!』
そんな悲鳴と共に、シミュレータの中ではセイラの乗ったヅダが撃破され……リーオーに乗った綾子の機体が勝利する。
本来なら綾子の乗機はトールギスVなのだが、ヅダを相手にしてそれではMSの性能差が大きすぎるという事で、この魔法球においてセイラの訓練をする時、綾子はリーオーを使っている。
リーオーとヅダでは、性能的には大きく差はない。
いや、機動力という一点においては、ヅダの方が勝っていると言ってもいいだろう。
それでもどうしようもないのは、やはり実戦経験の差だが。
元々はW世界で俺と再会するまで、綾子はMSの類に乗った事はなかった。
……当然だろう。綾子や凛がいたFate世界は魔術の類はあったものの、科学技術という点で考えれば決して進んでいた訳ではない。
いやまぁ、別に極端な後進国という訳でもなかったが、それでもMSのような人型機動兵器を開発するのは無理な程度の技術力しかなかった。
ましてや、綾子も凛も魔術方面に進んでいたから尚更だろう。
だが、W世界において俺と再会し、傭兵部隊シャドウミラーとして活動する為に、綾子はMSの操縦を覚えた。
……凛の方は色々と問題があって、そんな事が出来なかったが。
ともあれ、W世界では多くの実戦をMSで戦い抜き、そうしてホワイトスターにやって来てからは、実働班として日々訓練を重ねている。
精鋭揃いのシャドウミラーで訓練をしているのだから、当然のように綾子の操縦技術が上がるのは当然の話だろう。
「ふーん。……なかなかやるじゃない。綾子を相手に、あそこまでやり合えるとは思わなかったわ」
俺の隣で、紅茶を飲みながら凛が呟く。
その紅茶はいつも俺が飲んでいるような缶紅茶ではなく、きちんとした茶葉を使って淹れた代物だ。
……淹れたのは俺じゃなくて凛だけど。
「そうだな。MS操縦の才能という点ではセイラは間違いなくある。……これでシミュレータじゃなくて実機を使った模擬戦だったら、もっと対抗出来たんだろうけど」
実際に機体に乗っている訳ではない以上、ニュータイプ特有の、相手の殺気や視線を感じるといった能力は使えない。
逆に、そのような状況であっても綾子にすぐに撃破されるといった事がなかったのは、セイラの操縦センスの高さを表しているのだろう。
「そういうものなの?」
「ああ。セイラにとって、シミュレータの訓練は機体の操縦に慣れるという以外では殆ど意味はない。……そういう意味では、そろそろシミュレータの訓練はしなくなってもいいのかもしれないな」
そんな風に言ってる俺と凛の視線の先で、シミュレータの扉が開いてセイラと綾子の2人が姿を現す。
綾子の方はまだ余裕といった感じだったが、セイラの方は結構な疲れを見せている。
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