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永遠の謎
485部分:第二十九話 人も羨む剣その七

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第二十九話 人も羨む剣その七

「そしてあの城で主になられるのだろう」
「それがあの方ですか」
「バイエルン王ですか」
「おそらくはな」
 そうではないかというのだった。王は。
「あの方のお役目はこの世界においては幻想の世界をこの世界に導かれることであり」
 そしてだというのだ。
「あの世界においてはだ」
「聖杯城の主になられる」
「その二つですか」
「そうなるのですか」
「そう思えてきた」
 断言はできなかった。まだ。
 しかしだ。ビスマルクだからこそだ。その考えに辿り着くことができて。そうして言ったのだった。
「やはり私はあの方を嫌いにはなれない」
「むしろですね」
「それどころか」
「好きになっていく」
 純粋にだ。人間としての王をだというのだ。
「素晴らしいと思わないか。あちらの世界でも至高の王となられるのだ」
「若しあの方がそうした方なら」
「その通りですね」
 周りの者達はビスマルクの今の言葉には半信半疑だった。実際のところビスマルクも確かなことは言えてはいない。それでもだった。
 彼はだ。王についてだ。その思うことを話していくのだった。
「あの方を政治的に利用するのもだ」
「今回だけですか」
「そうですか」
「二度としない」
 断言であった。
「確かに私はドイツの統一、そしてそれからの発展の為には何でもしよう」
「ですがそれでもなのですか」
「あの方については」
「やはり。気が引ける」
 そうだというのだ。ビスマルクですら。
「あの方はこの世における奇跡なのだから」
「奇跡とまで仰いますか」
「バイエルン王は」
「そうだ、奇跡だ」
 まさにそうだというのだ。
「あの方は奇跡なのだ」
「そしてその奇跡をですね」
「二度とですか」
「政治的に利用はしない。ただ」
「ただ?」
「ただといいますと」
「見守りたい。そして」
 ここからもだ。ビスマルクの偽らざる心の言葉だった。
「必要とあらばお助けしたい」
「これからもですか」
「あの方については」
「予算か。そんなものはどうとでもなる」
 王が浪費するそれについてもだ。ビスマルクは大したものとは見ていなかった。実際にだ。こう言って終わらせる程であった。
「あの方の残されるものは予算など埃の様なものでしかないのだから」
「埃ですか」
「その程度のものになるのですか」
「莫大な予算の浪費も」
「そうだ。ドイツの、そして人間の」
 話はだ。そこまでだというのだ。
「大きな財産になるのだから」
「それで、ですね」
「予算についても援助をされる」
「そうされてですか」
「お助けしたい。バイエルンの者達があの方を理解せずとも」
 それでもだというのだ。

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