第6章:束の間の期間
第184話「再召喚」
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思ってる。……だから、自分が悪いだなんて言わないで。……ううん―――」
涙を拭き、葵は一度言葉を区切る。
「―――言わせない。優ちゃんにだけじゃない。誰にも」
「「ッ……!」」
気迫すら感じる程に、葵は力強く言った。
覚悟が感じられたその言葉に司と奏は気圧されていた。
「……ねぇ、貴女達」
誰も口を挟めないような空気の中、蚊帳の外だった鈴が司と奏に声を掛ける。
「私には貴女達の詳しい関係は知らないわ。……でも、彼を支えると決意したなら、それを自分達の中だけで済ませていいのかしら?」
「え……」
「それはどういう……」
「支えようとするのは、貴女達だけでいいの?支える相手は、彼だけなの?それぞれが自分だけで抱え込んでいたら、それこそ何も変えられないわよ」
どうするべきかを、鈴は語らない。
それは鈴自身にもわからない事であり、何よりも司と奏自身が判断する事だからだ。
「……そうだね」
「その通りだわ……」
鈴の言葉を確かめるように肯定する二人。
なら、どうするべきかと、二人は考える。
そして、出した結論を実行するために、まずは葵の下へと向かった。
「葵ちゃん」
「……何かな」
「私達は椿さんの所に行ってきます」
「……止めても無駄みたいだね。……うん、でも、今の二人なら任せられるよ」
短く会話を交わし、司と奏は椿のいる場所へと向かった。
先程は止めた葵も、二人の覚悟を感じ取ったのか、今度はあっさりと許した。
「……随分と、気に掛けるのだな」
「そうかしら?」
二人が去ったのを見送る鈴へ、鞍馬が話しかける。
会話には参加していなかったが、ここには澄紀も葉月も鞍馬もいたのだ。
一連の会話は全て聞かれていた。
「……そうね。同じような境遇だからかもしれないわ」
「同じ境遇……ですか?」
「そ。……そういえば、貴女も似たような境遇ね」
葉月も会話に参加してくる。
“似たような境遇”と言うのは、前世を知っているという事を表している。
事前に身の上を話し合ったため、葉月の事情から葉月も同じだという鈴。
しかし、当の葉月はピンと来なかったようだ。
「つまりね、彼女達も私達と同じように前世の事を覚えているのよ」
「っ、そうだったんですか!?」
「詳しい経緯は全然違うけどね」
「なるほど、だから他の者よりも関心を向けていた訳だな?」
前世云々の事を聞いても、鞍馬は驚かない。
さすがに葉月と鈴の前例があるため、慣れていた。
「そんな、私があまり物事に感心がないみたいな言い方やめてよ」
「そうですよね。鈴さんはなんだかんだと優し
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