第6章:束の間の期間
第184話「再召喚」
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かる……!でも、どうして……どうして、貴方がこんな目に遭わないといけないのよ……!」
「ッ……!」
それは、これ以上ない程の悲痛な叫びだった。
その声が、言葉の内容が、司と奏の心にも突き刺さる。
「優輝に何の恨みがあるっていうのよ!優輝が、一体、何をしたっていうのよ……!」
まるで運命を呪うかのように、神に訴えるように、椿は慟哭を上げる。
同時に、死にたくなる程の無力感を椿は感じていた。
「……ごめん」
「……なんで、貴方が謝るの」
「僕が無茶をしたから」
「ッ―――!!」
その瞬間、椿はその場から逃げ出した。
優輝がこうなってしまった現状への怒りと、それを阻止出来なかった無力さへの怒り。
それらが、優輝の言葉で箍が外れたように溢れ、抑えきれなくなったのだ。
やり場のない怒りを誰かにぶつける事も出来ず、一人になりに行った。
「つ、椿ちゃん!?」
「椿さん……!」
椿が逃げ出した事に、優輝と葵以外の全員が驚いた。
すぐさま司と奏が追いかけようとするが……。
「待って」
葵に、それを止められた。
「今は、ダメだよ。一人にさせてあげて」
「で、でも……っ!」
葵の言葉に反論しようとする司だが、それは途中で止まった。
なぜなら、葵もまた、椿のように溢れそうな感情を抑えた表情をしていたからだ。
「とりあえず、あたし達を再召喚してくれてありがとう」
「……葵……」
「お礼も出来ないのにお願いするのもなんだけどね……」
出来るだけ平静を装いながら礼を言う葵。
だが、誰が見ても平静を保てていないのは一目瞭然だった。
「……優ちゃんは、もう、戦わないで……!」
「葵……」
「強くなろうとするのもいい。戦わざるを得ないなら、その時は戦ってもいい!……でも、それ以上に、あたしは……あたし達は、優ちゃんが壊れていくのを見たくない!」
“無茶をしなければいい”。そういった考えで、何度無茶をしてきたか。
葵はそう考えて、これ以上無茶をして代償を払う事になって欲しくないと、優輝に涙ながらに懇願したのだ。
「葵ちゃん……」
「葵さん……」
口に出していないだけで、司と奏も同じ想いだった。
だからこそ葵の言葉が余計に響き、葵と同じように涙を流していた。
「……悪い……」
その言葉と涙は、感情を失っているはずの優輝にも響いていた。
涙を流す葵を優しく抱き締め、ただただ申し訳なくその一言を放った。
「優ちゃんは悪くないし、謝る必要もないよ」
「………」
「……悪いのは、優ちゃんに無茶させた、あたしなんだから……きっと、かやちゃんも同じ事を
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