第6章:束の間の期間
第184話「再召喚」
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しく回転する。
同時に、型紙に光が集束していく。
「あ、ああ……!」
司か、葉月か。もしくはその両方が思わず声を漏らす。
術式の中心に集まった光が、二つの人型を作り始めたからだ。
「っ……!」
「………」
召喚した張本人の優輝も、それを支援した鈴も、胸に込み上げる想いを感じていた。
「……椿、葵……」
光が収まり、再召喚された椿と葵の姿が露わになる。
優輝は、そんな二人の名を呼びながら、ゆっくりと近づく。
「再召喚……なるほどね。その手があったわね」
「型紙が残っていたからこそ……だね」
現世に戻って来た椿と葵は、戻ってこられた訳に納得する。
型紙は、本来なら無事に残る事は少ない。
そもそも式姫が死ぬのは戦闘である事が多く、式姫としての器を失った型紙は大した強度がないため、あっさりと紛失するのだ。
だが、今回はそんな事もなく、型紙が綺麗に残っていたために再召喚が出来た。
「……心配、掛けたみたいね」
優輝だけでなく、司や奏、鈴など、何人もいる事に椿は気づく。
そのほとんどがこちらを安堵したような表情で見ていた。
「それに……」
「優ちゃん……」
そして、椿は改めて優輝の様子を確認して、拳を握りしめた。
まるで、悔しさを滲ませるように。
「……どういうことか、説明してくれないかしら?どうして……どうして、貴方は感情を失っているのよ……!」
そう。椿と葵は一目で優輝の状態……感情を失っている事に気付いた。
その事が……こうなる事が防げなかった事に、椿は悔やんでいたのだ。
「それは―――」
まずは説明する必要があると、優輝は判断して説明を始める。
司や奏も、優輝の説明を補足するように会話に参加した。
「……経緯は、わかったわ……」
椿達はまず自分たちが優輝に憑依してからの話を聞いた。
その上で、無茶した事で代償に感情を失った事を知る。
「……悪い、また無茶をした……」
「ッ……貴方ねぇ……!」
優輝の謝罪の言葉に、椿が思わず手を振りかぶる。
「……ッ……!」
……だが、その手が振るわれる事はなかった。
椿は沸き上がる感情を何とか抑えつけ、振りかぶった手を止めていた。
「なんで、貴方は……ッ!」
「優ちゃん……」
その手は、そのままもう片方の手と共に優輝の肩に掛けられる。
顔を俯かせ、優輝に投げかけたその言葉は、悲壮感に満ちていた。
葵も同じ気持ちなようで、名前を呼ぶ以外の言葉を出せなかった程だ。
「無茶をしなくちゃいけなかったのも、分かる。他の誰かを頼れない程切迫した状況だったのも、分
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