第6章:束の間の期間
第184話「再召喚」
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最後に肝心の召喚術式を整えるために、鈴は澄紀も連れてきていた。
他にも、葉月や術に詳しい鞍馬も来ていた。
「悪いけど、私は……と言うより、今の土御門に召喚の術式は伝わっていないわよ?」
「でも、術式そのものは残っているはずよ」
「……それは、そうだけど」
鈴は澄紀が家の文献を漁って澄姫を憑依させることになった経緯を知らない。
だからこそ、このような言い方になったが、実際に澄紀は術式を知っていた。
厳密には、術式が記された文献を持っていた。
「時間がなかったから読み解いていないけど……」
「……十分よ。後学のために見ておきなさい。私が代わりに組み立てるから」
そういうや否や、鈴は術式を紙に書き始める。
ちなみに、その紙は優輝が創造したものであったりする。
「お、覚えてるの?」
「私が生きていた時代だと、陰陽師は散々体に覚えこませる程使う術式よ。式姫だけでなく、普通の式神を召喚する時にも使える術式だから、覚えて損はなかったからね」
「私も術を扱う者の端くれ。少しばかり手伝おう」
「わ、私も手伝います……!」
鞍馬と葉月も術式を組み立てるのを手伝い、一気に作業を進めていく。
「……ここがこうなって……なるほど、だから……」
「……さすが、式姫を召喚する術式なだけあって、複雑だね……」
「そうね……」
その様子を見て、澄紀は家で見た文献の内容を改めて知る。
短時間では読み解けなかった部分が、目の前で組まれる事で理解できるようになる。
司と奏も、術式の内容に感心するように見入っていた。
「後の時代……と言うより、私の死後、式姫を従える陰陽師を支える方位師と言う存在が確立されたらしいわ」
「それは椿達に聞いた事があるな」
「確か、陰陽師を遠征地から帰還させるための……」
「退き際を見誤って死んだ私の二の舞にさせないように、泉さんが新たに定めたのよね」
方位師は、鈴が生きていた時には存在しなかった。
その鈴が死んでしまったために、彼女の師であった吉備泉が同じ事を繰り返さないように新たに作り出した役割だった。
「……方位師は式姫召喚の支援も行うわ。貴方達は初めてな事もあるし、今回は私がその立場になってあげる」
「えっと……方位師じゃなくても大丈夫なの?」
「元々陰陽師は召喚も一人で行っていたわ。私も含めてね。だから、召喚の支援程度なら出来るわ。それに、いざとなれば彼女も支援が出来るだろうし」
「えっ?……確かに、出来ますけど……」
自身の事を指していた事に、葉月は若干困惑しながらも肯定する。
前世で幽世にいた時、とこよと共にいたためにそれぐらいは出来るようになっていた。
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