第6章:束の間の期間
第184話「再召喚」
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いたお父様とお母様が偶然、幽世と現世の境界が薄れている事に気づいたの』
「境界が……?でも、それは大門が開いた時も……」
『それが門は閉じられたまま且つ、二つの世界の均衡が崩れることなく混ざろうとしているとするなら?』
「っ……!それは、異常ね……!」
偶然だったとはいえ、優輝達が見つけた異常に、神々も気づいていた。
尤も、黄泉と現世を隔てた状態で連絡を取っていたため、おかしくはない。
神であれば、気づいて当然だと思えるだろう。
『ええ。異常よ。でも、それ以上に重要なのが……その歪みが、世界の“何か”に干渉しているということよ』
「“何か”……?」
『残念ながら、そこまでは掴めていないわ。でも、未曽有の危機なのは間違いないわ』
その言葉には、今まで椿や葵が経験してきた事件よりも上だと、言外に言っていた。
「そこまで……」
『お父様とお母様だけでなく、他の神々も探っているわ。……努々、忘れないで。どうすればいいのかは、私たちにすら示す事は出来ないけれど、来るべき時に備えるのよ』
“無責任な”と言いたくなるような言い分だった。
しかし、椿と葵はそれを口にする事も考える事もなかった。
草祖草野姫の口ぶりから、それだけ真剣なのが見て取れたからだ。
『最後に……』
「っ……!」
『私の力を分け与えるわ。どこまで通じるかわからないけど、ないよりはマシよ』
「……ありがたく頂くわ」
草祖草野姫が椿に手を翳すと、椿から神力が発せられるようになった。
式姫としての箍が一つ外され、椿は神降しに関係なく神力を扱えるようになったのだ。
『……後は、自力で頑張りなさい“私”、葵』
「……わかったわ」
「任せて」
椿と葵の力強い返答を聞き、草祖草野姫は微笑みながら姿を消した。
「……ここまでお膳立てされたなら、何としてでも復活しないといけないわね」
「そうだね」
受け取った力を確かめながら、椿は諦めない意志を固めた。
葵もまた、同じように意志を固める。
―――八束神社
「……なるほど。確かにいい霊脈ね」
「同時に、僕が初めて椿と会った場所でもある」
「“縁”も十分……と」
優輝達は八束神社に来ていた。
あの後、再召喚の場所として最適か、鈴は調査のために来ていた。
「……可能よ」
「やったっ!」
そして、調査の結果。
再召喚が可能な事が分かった。
その事に、司は思わず声に出して喜んだ。
「後は術式だけど……」
「……そのために私も呼んだのね……」
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