暁 〜小説投稿サイト〜
稀代の投資家、帝国貴族の3男坊に転生
100話:第三次ティアマト会戦(決着)
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とするが、少し話があると言われ、席を勧められる。急ぎで相談しなければならない事は無かったはずだが、如何されたのだろうか?

「キルヒアイス、この会戦は確かに帝国が快勝したが、改めて正規艦隊司令の重みのような物を俺は感じている。お前はその辺りどう思った」

「私の立場からすると、いささか叛乱軍は『投機的』な作戦を実施したのではないかと存じます。4個艦隊の内、2個艦隊は明らかに練度が不足しておりましたし、統一した動きも出来ておりませんでした。おそらく年末の遭遇戦から、補給と整備を含めここまでの戦力が出てくるとは想定していなかったのでしょうが、出すべきでない戦力を出していたように思います」

第三次ティアマト会戦は帝国軍全体で40000隻を超える撃破判定を取っている。降伏勧告を行わなかった代わりに、残敵掃討をせずに引き上げる判断がされた。それ自体に異論は無かったが、戦況の推移を参謀長として分析する中で、叛乱軍の少なくとも2個艦隊は、戦力化段階の艦隊であった可能性を認識した。おそらくこちらの戦力を過少に見積もっていたのだろうが、『兵士』ひとり一人が補充困難な資源と考えている帝国軍では、ありえない判断だった。

「確かにな。どのような事情があったのかは分からないが、艦隊司令ともなれば自分の艦隊の練度には細心の注意を払うはずだ。出撃せざるを得ない事情があったにせよ、戦死した兵士たちにとっては良い面の皮だろうな」

「はい。正規艦隊司令となれば、新しい編成では200万人近く、メンテナンス部隊を入れれば230万人の兵士の命に責任を持つことになります。今回の戦いの戦略的な意味はもう少し分析が必要ですが、戦術的には敵の戦力を過少評価して、出すべきでない戦力を出撃させ、無駄に失っただけでございましょう」

怒りに似た感情に戸惑っていた。どこかで似たような話を聞いたと思い返してみると、リューデリッツ伯がイゼルローン要塞の司令官をされていた時代に、無謀な作戦で要塞主砲で殲滅した折の話に似ているのだと気づいた。周囲の方々は『大勝利』を誇るかのようにお話になられるが、『伯』はどちらかと言うと、無謀な作戦を実施した叛乱軍の上層部にお怒りのご様子だった。今、私が感じているもやもやした感情と似たような物を『伯』もお感じだったのだろうか?

「キルヒアイス、大丈夫だ。俺はあのような『負けるべくして負ける』ような艦隊司令にはならない。それに戦死者を一人でも減らす動きの大元は俺たちの『後見人』だ。無駄に戦死者を出すような事はできない。もしそんなことをしそうになったら遠慮なく指摘してほしい。お互い敵の有り様にいささかショックを受けたようだな。お前も感じる所があって安心した」

「いえ、私の方こそ安心いたしました。『ティアマトの雪辱』には確かに喜びを感じておりますし、きっ
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