第71話
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エリゼは不安そうな表情でリィンに訊ねたが
「ああいや……そうじゃないんだ。ただ、なんていうか……懐かしい味だなって思ってさ。一瞬、実家に戻ってきたような気がしたくらいだ。」
「あ…………ふふっ、当然です。シュバルツァー家の味付けですから。この機会にたんと召し上がってくださいね?」
「ああ、ありがたく頂くよ。」
リィンの感想を聞くと若干自慢げな様子になって答えた後リィンと二人だけの世界を作り、その様子を見たユウナ達は冷や汗をかいて呆れた。
「って、一瞬で二人の世界だし……」
「フフ、何だかんだ言ってもエリゼには敵いませんわね。」
「何と言っても、お兄様が最初に出会った女性で、お兄様の事を最も理解されている方ですものね。」
「むむっ、やはり正妻であるエリゼさんをまず味方にする必要がありそうですね……」
「もう、ミュゼったら……」
ユウナがジト目でリィンとエリゼの様子を見守っている中アルフィンとセレーネは苦笑し、真剣な表情を浮かべて呟いたミュゼの独り言を聞いたリーゼアリアは呆れた表情で溜息を吐いた。
「ハグハグ……この魚もなかなか……」
一方セリーヌはリィン達の様子は気にせず、魚を美味しそうに食べていた
「ガツガツ……ま、悪くはねえな。」
「…………家庭の味、か。そういえばこういうのは久しぶりだな………」
アッシュはエリゼ達が作った弁当を食べながら高評価をしている中クルトは懐かしそうな表情を浮かべた。
「クク、なんだ?母ちゃんの手料理が恋しくなっちまったか?帝都にいるんだろうし、毎週帰ればいいじゃねえか。」
クルトがふと呟いた言葉が気になったアッシュはからかい半分でクルトに指摘した。
「修行も兼ねているんだし、そうそう簡単には帰れないさ。君の方こそ、入学して3ヵ月、家の味が恋しくなったんじゃないか?」
「ま、そうだな。ちょいとメシマズな母親だったが無けりゃあ物足りねぇもんだ。」
「へえ……?」
アッシュの話を聞いたクルトは興味ありげな様子でアッシュを見つめた。
「モグモグ……ンな事よりちょいと物足りねぇ感じだな。おっ、いいところにサンドイッチが余ってるじゃねぇか。」
「僕のだ。……油断もスキもないな。」
クルトのサンドイッチを奪う為にアッシュはクルトの弁当箱へと手を伸ばしたがクルトは即座に弁当箱をアッシュの手から遠ざけた。
「ふふ、一応余分に作ってますからよかったらどうぞ。」
「おっ、そんじゃ頂くぜ〜。」
「………やれやれ。」
二人のやり取りに気づいたリーゼアリアは余りの弁当箱をアッシュに渡し、その様子を見守っていたリィンは苦笑していた。
その後リィン達は弁当を綺麗にたいらげて解散となり――――
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