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稀代の投資家、帝国貴族の3男坊に転生
99話:第三次ティアマト会戦(虎口)
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隊は挟み撃ちに合い、全滅するだろう。

「その指令は出せん。パストーレ艦隊とムーア艦隊は、わが艦隊がしんがりに就くことを前提に進撃している。帝国軍の右翼に我々が向かえば、2個艦隊は間違いなく全滅する。ここは我々が左翼を押さえているうちにパエッタ艦隊が突破を完了することを狙うのだ」

追い込まれると人は本性をさらけ出すというが、自分の安全を確保しながら『美味しい所』をかすめ取ろうとは品格が無いにも程がある。それに2個艦隊が撃破された後に、わが艦隊とパエッタ艦隊だけで勝機が生まれるはずがないことすら理解できないのだろうか?ダゴン星域を抜けるまで数日間は追撃戦を受けることになる。そうなれば4個艦隊がそろって撃破されることになる。今更ながら、こんな参謀の予測に基づいた作戦を許可した自分が恨めしい。だが、そんな事を考えている暇はない。部下への責任を果たさねばならないのだから。


宇宙歴796年 帝国歴487年 4月上旬
ティアマト星域 艦隊旗艦ネルトリンゲン
ウィリバルト・ヨアヒム・フォン・メルカッツ

「閣下、読み通りといった所ですが、敵将のロボス提督は分艦隊司令までは積極攻勢が悪く出る事はあれ、戦況に応じて戦術を変えられる人物だったはず。指揮する兵力が多くなると、それまでの功績の源泉が活かされなくなるような事もあり得るのでしょうか?」

「うむ。そういう傾向が出る場合もあるが、今回のロボス提督には当てはまらんだろうし、ケンプ少将はもう少し『強硬策』を好むところを押さえられれば問題なかろう。卿は読み通りと言ってくれたが、実際にはそれしか選択肢が無かった......。と言うのがより正確かもしれんな」

制宙部隊のエースから私の艦隊司令部に転属して以来、ケンプ少将は参謀から分艦隊司令までしっかりこなしてくれた。昇進して中将ともなれば正規艦隊司令の候補となる人材だったが、判断に困る場合、『強硬策』を取りがちな傾向があった。今の所、帝国軍は戦術とそれに合致する兵器開発によって、叛乱軍に対して戦況を優勢に保ってはいる。ただ、毎回『強硬策』では、今回のロボス提督のようにどこかで読まれて手痛いお返しをもらう事にもなりかねない。正規艦隊司令候補であることも踏まえて、『参謀長』役を今回は任せていた。

「選択肢......。ですか。ティアマト星域から退くとなると、ダゴン星域に向かう事になるります。なるほど、一個艦隊程度ならまだしも、4個艦隊の退路としては狭すぎますな」

「その通りだ。つまり自軍より多い敵と会戦するしかなかったわけだな。しんがりに置く艦隊を見捨てれば3個艦隊は逃げられたやもしれん。しかしそれは言わば『死兵』だからな。当然、戦う選択肢を選ぶだろうな」

「ロボス艦隊がこちらに来れば、少なくとも突破の先陣とロボス艦隊は生き残る可
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