ダン梨・E
[3/5]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初
うじじいが手塩にかけて育てたベル・クラネル。あんたにとってはそれが重要なんじゃないか?世界最速兎、未完の少年、猛牛殺し、そいつは重要じゃない。誰の孫かが重要だった」
「……君は知ってるのか。ベルくんは知らないのに?」
「じじいが何考えてたかなんてどうでもいい話です。俺はその船に相乗りさせてもらっただけですから。じじいからあなた宛てに伝言を賜ったりもしてないし、別段深入りする気はなかった。今回の件もね、別に犯人探してふんじばろうって思ってる訳じゃないんですよ。ただね、ただ――」
両手にスリケン・チャクラムを握ったバミューダは、とびっきり邪悪な笑みを浮かべる。
「俺は、俺らは、『ヘスティア・ファミリア』なんですわ。他所のファミリアに団長をいいように踊らされ、主神に刃を突きつけられれば、神にナメた真似してくれた馬鹿にヤキ入れるか、出すもん出してもらわなきゃ――ねぇ?」
「――アスフィ」
自らの最高の眷属、彼を上回る手札が剣に手をかける。
彼は知り過ぎだ。かつ、都合が悪い。だが先手は打たれていた。
「無駄だ。犯人が誰かはもううちの神に伝え、俺が戻らなかったときのことも計画してある。今ここに俺が現れた時点で隠匿は不可能だ。それだけならまだいいけど――果たして俺が戻らなかったとあって、『あの人たち』が黙って見ているのかどうか、俺も分からないな」
たち――あの人、ではなくあの人たち。ヘルメスの把握していない伝を匂わせ、そこに嘘がない。
「そして、それに至ったベルの矛先が王道から逸れたら、それはあんたの望む所じゃないんじゃないか?」
「……何が望みだい?」
「情報提供、アイテム提供。必要なときでいいけどね。とりあえず前金として『ハデス・ヘッド』は頂く。それとベルが疲れて帰りが長引いちまったんで、その間に稼げた推定ヴァリス総額の賠償。分かるだろう?今じゃなくて『これから』が大切だ。ま、カタくならずに……末長〜〜〜〜く、仲良くしましょうよ」
なんてことだ、とヘルメスは『歓喜した』。
スゴイじゃないか、ゼウス。どこでこんなのを拾ってきたんだ。
貴方が見定めた子供はこのヘルメスを出し抜いた。
ヘルメスは改めて、バミューダの事を後回しにしたことを悔いた。
こんな子が自分の眷属になってくれれば、どんなに楽しい催し事が出来たことか、と。
「……ま、多少は身を切っていいって判断だったのか、すぐに話は纏まりました。表に公開するのはちょっともったいない情報なので、同盟の話があったこと自体にしらばっくれといてください神様」
「またこの子はもう、神を脅迫して同盟にこぎつけるとか……危ない橋を見たら渡らずにはいられないの?いやボクもヘルメスの裏切りはショックだから強く言えた義理じゃないけどさ」
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ