ダン梨・E
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ったんじゃなかろうか。
死ぬ思いはしたが、強制イベント第一弾を乗り切った俺は、そう結論付けて自作ドライフルーツ梨をつまんだ。うーむ、保存食としてはいけるがちょっと微妙な味だ。
◇ ◆
黒ゴライアス討伐後、ベルの活躍に興奮するヘルメスの後ろから快活な声がかかった。
「いやぁ、いい見世物でしたね、神ヘルメス。というわけで、見物料徴収のお時間ですよ」
「……へ?」
ヘルメスが振り返った先にいたのは、あのどんちゃん騒ぎの中心にどうしてかいなかったヘスティア・ファミリアの「知らない子」。ベルと生活を共にしていたと聞いていたが、ヘルメスは彼が「ゼウスの孫」ではないことは知っていたため、後回しにしていた子だった。
「あ、あれ?もしかして聞いてた?バッチシ?」
「ええ、バッチシ聞いてましたとも。今回の馬鹿騒ぎを裏で取り仕切っていたヘルメス様?」
「な、何を根拠に――?」
「そもそもですねぇ、モルドみたいな安月給が『ハデス・ヘッド』なんて持ってる訳がないんですわ。伝もないし、そもそもモルドって男は小物でして。『後押し』なしに神を人質に取るなんて大それたことを思いつくほどネジの飛んだ輩じゃないんですわ」
件のハデス・ヘッドを指でくるくる回しながら喋るバミューダに、ヘルメスは自分の背中から汗が噴き出すのを自覚した。
思えばこの少年がモルドとのあれこれの邪魔になる事が予想できていたので誘導する口実は作っていたのに、彼はそれに乗る必要もなく事件現場と反対方向へ進んでいたからヘルメスはそれを放置した。ベルを成長させるためのちょっとした余興、そのお膳立てのつもりで。
だが、それが偶然ではなかったとしたら?彼はあの後大騒ぎで一度ベルと合流したもの、なにやら話をしてすぐ別れた。あの時は避難誘導にでも出たのだと思っていたが、本当にそうだったのか?
「というかですねぇ、そもそもうちのロリ神様はともかくアンタはダンジョンに潜る必要皆無なんですわ。手勢を送れば事足りる。なのに善意を見せびらかして下に降りてきたってことはねぇ、降りないと出来ない何事かがあった訳ですよ。ビジネス?そのセンは薄い。善意なんてハナから除外だ、あんたそういうタイプじゃない。打算抜きの行動を嫌ってるぐらいだろ。だったらなんだ?アンタが視線を向け、俺や他のメンツをほったらかしに真っ先に知ろうとしたのは、なーんだ?」
この子供は、ゼウスに気まぐれで拾われた子供は、余りにもあらゆるものを見過ぎていた。
いや、というか――なんて馬鹿をしたんだとヘルメスは自分のヘマを呪った。
ゼウスが態々拾って面倒見たんだ。それが『ただの人間』で終わるような人であることが、ありえるか?
「答えはベル・クラネル。そう、あの雷霆のナントカい
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