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永遠の謎
474部分:第二十八話 逃れられない苦しみその十八
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第二十八話 逃れられない苦しみその十八

「勝てると確信している」
「確信ですか」
「彼等はそう思っているのだ」
 フランスはだ。そうだというのだ。
「あの国の高官達はとりわけだ」
「プロイセンは強いですが」
「しかしフランスはそれ以上に強いと思っている」
 これがフランスの見たところだった。
「だからだ。周囲は数年はかかると思っている戦争もだ」
「彼等は瞬く間に終わると思っていますか」
「その点は私やビスマルク卿と同じだ」
 戦争が短期で終わることは間違いないというのだ。だが。
 問題はだ。その勝者だ。それは。
「しかし勝者はフランスではない」
「プロイセンですね」
「フランス側の殆んどの者がわかっていないのだ」
 これが現実だった。
「だが」
「だが、ですか」
「皇帝だけはわかっておられる」
 この場合の皇帝はフランスの皇帝だ。
「あの方は流石にだ」
「戦えばフランスが破れることが」
「わかっておられるのだ」
「しかし政治家や官僚、そして国民達はですね」
「全くわかっていない」
 プロイセンの強さ、それがなのだ。
「油断しており相手を軽く見ている」
「それがよくありませんか」
「それで勝てる筈がない」
 油断は最大の敗因となる、それはプロイセンとフランスでも同じだった。
 王はそれも見ていた。そのうえでの言葉だった。
「フランスは確実に。即座に破れる」
「多くの血が流れますか」
「いや、血は周りが思う程流れはしない」
 犠牲者は少ないというのだ。
「フランスは瞬く間に破れるのだから」
「破れるからですか」
「そうだ。それでは血は多くは流れない」
「三十年戦争とは違いますか」
「あの戦争は長い間激しい戦争が続いた」
 しかもそこに宗教が絡み武器を持たない者への蛮行が日常化してだったのだ。
「だが今回の戦争はすぐに終わるからだ」
「血は多くは流れませんか」
「わかっていない者達が愚行を犯せば別だが」
 その場合は違うという。
「だがだ」
「戦争による犠牲は少ないですか」
「そうなる。だがこの戦争では多くのものが失われる」
 犠牲の他にだ。そうなるというのだ。
「そして私もまた」
「失われますか」
「バイエルン王は臣下になる」
 それはだ。間違いないというのだ。
「ドイツ皇帝のだ。その時が来るのだ」
「それは避けられませんか」
「ドイツ皇帝は世襲になる」
 このこともだ。王は既に見抜いていた。
「ホーエンツォレルン家のな」
「バイエルンがプロイセンの臣下にですか」
「皇帝は王の上に立つ」
 その皇帝にプロイセン王がなるのならだった。
「誰にも止められない」
「陛下にも」
「私は最もだ」
 止められないというのだ。彼がまずだ。
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