第七章
[1/2]
[8]前話 [1]次 最後
「生きているか、よかったな」
「よかったか」
「ああ、ああいう奴が死ぬとな」
バーンに言うのだった。
「寝覚めが悪いさ」
「騎士が死ぬとか」
「ああした奴は生き残ってな」
そうしてというのだ。
「後で何かすべきなんだよ」
「アーサー王のランスロットみたいにか」
「そうだな、ランスロットは修道院に入ったけれどな」
「黒騎士も修道院に入るといいのか?」
「そこまでは考えてないけれどな、それでもな」
「ああした奴こそか」
「生きるべきさ、それでな」
それでと言うのだった。
「俺達はな」
「生きて帰るか」
「アメリカにな、それで後はな」
「俺達も生きるか」
「家に帰ったらシカゴで車の修理だ」
「御前戦争に行く前その仕事してたんだよな」
「御前はデトロイトで喫茶店の店員だったな」
バーンはというのだ。
「そうだったな」
「そっちに戻るさ、それじゃあな」
「ああ、アメリカに帰ったらな」
「それぞれの仕事に戻ろうな」
そうしようと話す彼等だった、彼等はカンサスでセスナ乗りに戻ったフランクも含めてそれぞれの生活に戻った。
そしてドライゼはというと。
捕虜になったがその生活が終わり幸い戦犯にも問われずだ。
外の世界に戻ったがそこでだった。
再建されたドイツ、西ドイツの空軍に誘われた。彼を誘ったのは基地司令であったオットー=リヒターだった。
リヒターは彼にこう言った。
「また空を飛ぶか」
「あの時みたいにですか」
「そうしてみるか」
「俺の戦いは終わりました」
ドライゼはリヒターの誘いに無表情で応えた。
「あの戦争で」
「それならか」
「ですが俺は騎士ですから」
このことは変わらないからだというのだ。
「また空で戦うことはなくとも」
「それでもか」
「ドイツの戦いは続きますね」
「二つに分かれた」
東西にというのだ。
「今度は身内同士で殺し合うかもな」
「三十年戦争みたいに」
「それを避ける為にはな」
「西ドイツも然るべき軍隊を持つべきですね」
「わかるな、だから君を誘ったが」
「俺は空を飛びません、戦いも終わりました」
これもというのだ。
「しかしです」
「それでもか」
「ドイツの戦いが続くなら」
「それならか」
「戻ります」
「そうか、では教官として働いてくれ」
パイロット達のそれにというのだ。
「頼んだぞ」
「そうさせてもらいます、確かに俺の戦いは終わりました」
このことは何度も言う、彼の中では決まっていることだ。
「ですが」
「ドイツの戦いが続くならか」
「俺はドイツの騎士ですから」
黒騎士、そのことは今も同じだった。それ故の言葉だ。
「では」
「宜しく頼む」
「ドイツが今度の戦いに勝つことを願
[8]前話 [1]次 最後
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ