第三章
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「ここは知り合いの和尚殿に頼んでじゃ」
「仲裁ですか」
「それをして頂き」
「ここは退きますか」
「戦をしても勝てぬ」
これが九千坊の考えだった。
「幾ら何でも我等と同じだけの数ではな」
「到底ですな」
「勝てませぬな」
「それでは」
「残念ですが」
「それでじゃ」
だからだと言うのだった。
「ここはじゃ」
「負けるとわかっている戦はせず」
「そしてですな」
「降る方がいいですか」
「無駄に命を落とすこともあるまい」
こう言ってだった、九千坊はすぐに自ら僧侶のところに行って話をした。
そうしてだ、すぐにだった。
僧侶が間に入って清正と九千坊が話をすることになった、九千坊は主な家臣達を連れて清正の本陣に赴くことになったが。
ここでだ、彼はこう申し出た。
「猿共を下がらせて欲しいか」
「はい」
仲裁役の僧侶が清正に答えた。
「猿と犬は駄目だとです」
「河童だからじゃな」
「猿が何千もいれば」
それでというのだ。
「もう怖くてどうにもならぬので」
「それ故にか」
「降る話をするにも」
それをしてもというのだ。
「どうしてもです」
「猿達がいない場所でじゃな」
「そうしたいとのことなので」
「殿、これは」
この話を聞いてだ、清正の家臣達が言ってきた。
「猿共を下がらせますと」
「河童達がまた暴れるのでは」
「そうなることが目に見えています」
「ですからここは」
「猿共はそのままにしておきましょう」
「いや、猿共は下がらせる」
清正は自分に忠告する家臣達にすぐに答えた。
「あちらが言ってきた、ならばな」
「それならばですか」
「猿達は下がらせて」
「そのうえで、ですか」
「九千坊と話をされますか」
「うむ」
その通りと言うのだった。
「そうする」
「さすれば」
僧侶も清正に確認する為に問うた。
「この度は」
「九千坊にその様に伝えよ」
「わかり申した」
僧侶は清正に頭を垂れて応えてだった、九千坊のところに戻りこのことを伝えた。すると九千坊も河童達も安心した、だが。
ここでだ、九千坊はこうも思った。
「我等が猿がいなくなると暴れると見てな」
「それで、ですか」
「実は猿共を置いている」
「そうしているやも知れませぬか」
「騙し討ちにする場合もある」
猿達を使ってというのだ。
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