第二章
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「河童共を成敗してくるわ」
「ううむ、兵ではなく猿とは」
「殿はどういうお考えなのですか」
「一体」
「このことは」
「見ればわかる、そしてわしは猿の言葉もわかる」
清正は家臣達に笑ってこのことも話した。
「関白様に教えて頂いた」
「ああ、関白様はよく猿面と言われますが」
「猿面冠者と」
「そのせいで、ですか」
「猿の言葉もおわかりなのですか」
「その様じゃ、どうも幼い頃から猿とよく会う方で」
秀吉、彼はというのだ。
「それでじゃ」
「あの方から教えて頂き」
「そしてですか」
「殿は猿の言葉がおわかりですか」
「それでなのですか」
「猿に命を下すことも出来る、だから率いることも出来る」
猿達にとだ、こう言ってだった。
清正は実際に猿達に命を下した、すると猿達は彼の言葉に素直に従った。
「はい、この国の殿の命なら」
「わし等も従いまする」
「しかも殿の威容たるや虎を倒さんが如く」
「河童なぞものの数ではありませぬ」
「ははは、何時か虎を思う存分狩りたいのう」
清正の幼名は虎之助といった、それで昔から虎に興味を持っており虎を見て戦い狩ってみたいと思っているのだ。
「わしは必ず勝つぞ」
「左様ですな」
「では、ですな」
「これより我等を率いて」
「河童退治ですな」
「それに行くぞ」
清正は猿達に彼の言葉で告げた、猿達も彼等の言葉で応えてだった。
九千坊がいる筑後川に進んだ、するとそこで文字通り傍若無人で暴れ回っていた河童の大群¥がだった。
馬に乗り片鎌槍を持って鎧兜と陣羽織に身を包んだ清正の後ろに猿達の大群を見てだ、仰天してしまった。
「な、何じゃ!?」
「あの数の猿達は!」
「人の領主が攻めて来たぞ!」
「猿共を連れて!」
彼等は仰天し慌てて川の中に逃げ込んだ、そして川の底にある九千坊の屋敷に入りそこで彼にことの次第を話した。
九千坊は大柄で濃い緑の身体をした年老いた河童であった、その彼が話を聞いて言った。
「これはのう」
「はい、猿が相手です」
「それも国中の猿を集めた様です」
「我等と同じだけいます」
「恐ろしい数です」
「猿と犬は駄目じゃ」
この二つの獣はとだ、九千坊も言った。
「これではな」
「左様ですな」
「猿が相手ですと」
「それも何千もいては」
「我等では」
「どうにもならぬ、ではじゃ」
それでと言ってだ、九千坊は決断を下した。
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