470部分:第二十八話 逃れられない苦しみその十四
[1/2]
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
第二十八話 逃れられない苦しみその十四
「見せてはならないのだ」
「だからこそ推挙されるべきですね」
「ドイツ皇帝に」
「だからこそ」
「神聖ローマ皇帝は教皇に冠を授けられた」
ここでその歴史から学んだことをだ。ビスマルクは話した。
「だがそれはカトリックだからだ」
「我々はプロテスタントですから無理ですね」
「それは」
「ならばだ」
教皇が無理ならだ。それならばだった。
「王に推挙してもらうのだ」
「そのドイツの王の方々のですね」
「推挙を受けてですね」
「プロイセン王がドイツ皇帝になられるのだ」
そうなるというのだ。ただしだ。ビスマルクはこのことは確かとした。
「だが、だ。陛下はだ」
「今も懸念しておられますが」
「ドイツ皇帝になられると」
それならばだ。どうなるかというのだ。
「プロイセン王ではなくなると」
「そのことを懸念しておられますが」
「そのことは」
「そのことだな」
当然ながらだ。ビスマルクもこのことはわかっていた。
それでだ。こう言うのだった。
「しかしそれはだ」
「陛下にはお話されたのですね」
「プロイセン王としての称号はそのままだと」
「ドイツ皇帝ではあるがプロイセン王でもある」
「それはそのままだと」
「プロイセン王はホーエンツォレルン家の誇りなのだ」
まさにだ。そうだというのだ。
「それは代々のものだ。それを捨てるということはだ」
「陛下にはできませんね」
「とても」
「では言えるだろうか」
ビスマルクは彼等に問うた。
「オーストリア皇帝に大公の座を退けと」
「まさか。そんなことはできません」
「絶対にです」
「それを言うことはあまりにも無道です」
「考えることすらできません」
誰もがそのことは否定する。この前戦った相手の君主に対しても言うことはできない、考えることすらだとだ。彼等は首を横に振り狼狽した顔で話す。
「到底です」
「言えません」
「その様なことは」
「そうだ。そういうことだ」
まさにそうだというのだ。
「私はその様なことは考えていない」
「では陛下はこのままですね」
「プロイセン王であり続けるのですね」
「そうなのですね」
「これからも」
「そうだ。陛下はプロイセン王でありだ」
それと共にだというのだ。
「ドイツ皇帝になられるのだ」
「そのドイツ皇帝はホーエンツォレルン家の世襲ですね」
「そうなりますね」
「即位されたならば」
「そうなる。新しいドイツはプロイセンが主導する」
最初からそのつもりであることだ。
「それは決まっているのだ」
「だからこそホーエンツォレルン家の方、プロイセン王がですね」
「ドイツ皇帝に代々なられる」
「そうされますか」
「そして
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ